研究課題/領域番号 |
12217094
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安井 弥 広島大学, 医学部, 教授 (40191118)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2000年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | 消化管癌 / DNAチップ / 遺伝子診断 / 一塩基変異多型 / スキルス型胃癌 |
研究概要 |
消化管の病理検体に対するDNAチップを用いた癌の個性についての遺伝子診断システムを確立するために、次のことを行った。 1.消化管癌の鑑別診断、個性診断用DNAチップの作成に関する基礎的検討 手術的に切除された胃の高分化腺癌と低分化腺癌(スキルス癌)からRNAを抽出し、既知の癌関連遺伝子のcDNAマイクロアレイを用いて、遺伝子発現の組織型による相違を比較検討した。高分化腺癌では、integrin-beta4、cadherin、細胞周期調節因子、MAPKなどが、スキルス癌では、種々の増殖因子、MMP-2、MMP-3などのプロテアーゼが高発現していた。癌における発現異常には、CpGメチル化の関与が重要であった。さらに、多種の発現レベルの異なる遺伝子が検出されたが、胃癌における意義は現在不明である。これらについては、前癌性病変、早期癌、進行癌、転移癌での発現を比較し、また予後との相関を検討する必要がある。 2.遺伝子多型(SNP)と癌病態(発癌感受性、薬剤感受性など)に関する検討 E-cadherinの転写調節領域にはC/Aの一塩基変異多型rSNPがあり、A型はC型に比較して転写活性が弱いことが知られている。胃癌患者70例および健常対照者47例について、PCR-SSCPによりこのrSNPを検索したところ、胃癌患者には転写活性の高いgenotype(C/C型)が少ない傾向があった。さらに、胃癌患者の中でも、スキルス癌患者は、C/C型が19%、C/A型が81%、A/A型が0%と、有意にC/C型の割合が低かった。従って、E-cadherinのrSNPは、スキルス型胃癌の発生を予知する遺伝子マーカーである可能性がある。 さらに検索を進め、それの基づいた消化管癌の診断用ミニチップを作成し、分子病理診断システムに導入することにより、新しい癌の予防・診断・治療が展開できる。
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