研究概要 |
われわれは生体に投与可能な赤外蛍光標識物質としてICG誘導体を合成し,平成8〜10年度文部省科学研究費(基盤研究B08457168)を得,ICG誘導体標識抗体を作成し,赤外蛍光撮像装置を試作し,ICG誘導体標識抗CEA抗体を用いヒト胃癌切片の赤外蛍光画像の撮影が可能であることを明らかにした(特許申請WO98/12560,特許平10-228241).また,平成8〜9年度文部省科学研究費(萌芽的研究08877091)を得,新鮮切除標本において免疫染色が可能であることを明らかにした.さらに,平成11年度厚生省がん研究助成金「がんの診断治療用光学機器の開発」の班員として助成金を受け,「赤外線蛍光内視鏡の開発」を行い,試作機の作成に成功,本研究の準備状況が整った. 本研究において,赤外線蛍光内視鏡の画像解析システムの改良を行い解像力の増強をはかり,動物実験で標識抗体の染色性を検証すれば.赤外線蛍光内視鏡検査の実現の可能性は極めて高いと考えられる.そこで感度および特異度とも従来の標識物質に比べて鋭敏な新しい標識物質を開発し,その有用性につき報告した(第60回日本消化器内視鏡学会総会,平成12年度日本分光学会秋季講演会・シンポジウム,第21回日本レーザー医学会総会,5^<th> International Symposium on Predictive Oncology & Therapy).さらに新標識抗体の蛍光強度に関する詳細な検討を行うとともに、切除新鮮標本を用いたICG誘導体標識抗体による微小胃癌の赤外蛍光撮影が可能であること(8^<th> United European Gastroenterology Week),および担癌ヌードマウスにおける生体免疫染色の可能性を明らかにし(第60回日本消化器内視鏡学会総会),本標識抗体および赤外線蛍光内視鏡を用いての微小癌診断が可能であることを明らかにした.
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