研究課題/領域番号 |
12217106
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 学 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (50198074)
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研究分担者 |
渡邊 武 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (40028684)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
2000年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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キーワード | 腫瘍免疫 / RCAS1 / 22-1-1抗体 / アポトーシス / 細胞増殖 / 癌の浸潤・転移 / モノクローナル抗体 / II型膜タンパク |
研究概要 |
我々が作製したモノクローナル抗体22-1-1が認識する抗原はヒトの種々の癌細胞において強く発現しており、いくつかの癌では22-1-1抗原が陽性であることと癌の進展、予後との間に相関があることが示唆された。22-1-1抗原決定基を構成している分子群がタンパクであることがわかり、22-1-1抗体が認識すると考えられるヒト癌細胞の表面に発現する膜抗原分子RCAS1を同定した。ヒトのさまざまな系列の細胞や活性化された免疫細胞上には、RCAS1分子をリガンドする受容体が存在していることが示唆された。興味深いことは、RCAS1がその受容体を介して免疫細胞などの受容体陽性細胞の増殖を制御し、アポトーシスによる細胞死を誘導したことである。これらの結果は、RCAS1が癌抗原特異的な免疫細胞の増殖を抑制し細胞死に陥らせることにより、癌細胞が免疫監視機構によって攻撃され破壊されるのを防いでエスケープする可能性を示している。 癌の進展・浸潤におけるRCAS1の役割が解明されれば、癌(全ての癌ではないが)がどのように免疫系を不活化するか、周囲の組織への浸潤はどのように促進されるか、そして癌の悪性化を規定する分子群などについてその機構の一端が明らかにされることも期待される。RCAS1とその受容体の結合をブロックする方法が開発されれば、癌の進展阻止、悪性化の抑止につながるかもしれない。RCAS1分子とその受容体の構造と機能の解明は癌の新しい治療法の発見につながる可能性もある。特にRCAS1の作用を阻止する抗体の開発は癌に対する有望な治療に結びつくことが期待される。現在、受容体分子の構造解析を行っている。
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