研究課題/領域番号 |
12217109
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田仲 和宏 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (10274458)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2000年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | Ewing肉腫 / EWS-Fli1 / E2F1 / 細胞周期 / 分子標的治療 |
研究概要 |
Ewing肉腫(ES)は悪性骨軟部腫瘍の中で最も予後不良の腫瘍であるが、その90%以上に染色体転座t(11:22)がみられ、その転座の結果、異常な融合遺伝子EWS-Fli1が生じる。EWS-Fli1は強力な転写因子として働き、正常線維芽細胞をtransformする活性を有するため、ESの癌化の原因そのものと考えられている。これまでに我々は、EWS-Fli1の発現を抑制することでES細胞の増殖が抑制され、その際細胞は細胞周期のG1期に停止すること、EWS-Fli1の標的遺伝子がG1/S期移行に関連した因子であることを明らかにしてきた。本研究の目的は、転写因子EWS-Fli1から標的遺伝子までのシグナル伝達経路の詳細を明らかにし、その経路を阻害することでES細胞の増殖を有効に抑制できるか検討を加え、ESの新しい分子標的治療を開発することである。ES細胞にEWS-Fli1アンチセンスを作用させると、細胞はG1期停止を起こす。そこで、この細胞からmRNAを抽出してプローブを作成し、cDNA microarrayにhybridizationさせた。結果をコンピューターで解析し、EWS-Fli1による細胞癌化に、どのような遺伝子発現変化が伴うか検討した。その結果、G1/S期移行に重要である転写因子E2F1がEWS-Fli1の標的遺伝子であることが明らかになった。EWS-Fli1を強制発現させるとE2F1の発現が誘導され、ES細胞にアンチセンスを作用させるとE2F1の発現は抑制された。ES細胞にE2F1結合配列をもったデコイオリゴを作用させると、細胞の増殖が有意に抑制された。本研究より、E2F1はEWS-Fli1の標的遺伝子であり、ESの増殖に深く関わっていること、ESの新しい遺伝子治療のターゲットとして有用であることが明らかになった。
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