研究課題/領域番号 |
12217118
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
河野 通明 長崎大学, 薬学部, 教授 (00027335)
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研究分担者 |
片岡 貞 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (00082975)
河野 功 長崎大学, 薬学部, 教授 (20038607)
星野 理香 長崎大学, 薬学部, 助手 (60315265)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
2000年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 細胞がん化 / がん化学療法 / ERK-MAPキナーゼ / MEK阻害剤 / アポトーシス / CDK阻害タンパク質 / チオフラボン誘導体 |
研究概要 |
1.ERK-MAPキナーゼ系が恒常的に活性化されている癌細胞株において、MEK阻害剤(PD98059、U0126等)処理でそれを選択的に遮断した際、顕著なG1期集積に伴う増殖停止を認めた。なお、上記細胞においてはDNA含量の少ないSub-G1細胞が出現し、そこではアポトーシスに特徴的な幾つかの現象(核の分断化、クロマチンの凝縮、核DNAのヌクレオソーム単位への断片化)が誘導されていることを見出した。MEK阻害剤はヒト二倍体繊維芽細胞に対してもある程度の増殖阻害作用を示したが、それは薬物の除去によって速やかに回復し、またアポトーシスを誘導することはなかった。すなわち、ERK-MAPキナーゼ活性が顕著に上昇している癌細胞に対して、その特異的遮が実際に「制がん」につながることを明らかにした。 2.PD98059処理した上記癌細胞において特徴的に、CDK阻害蛋白質の一種であるP27^<Kip1>の発現量上昇、p27^<Kip1>のサイクリンE-CDK2複合体への結合、サイクリンE-CDK2キナーゼ活性消失、Rb蛋白質のリン酸化レベルの低下を認め、これが上記癌細胞の増殖停止、さらにアポトーシス誘導の分子機構であることを明らかにした。 3.PD98059の基本骨格をもとに合成した様々な2^1-アミノチオフラボン誘導体の中に、ERK-MAPキナーゼ系が恒常的に活性化されている癌細胞に対して、顕著、かつ選択的な増殖阻害効果を示す新規化合物を見出した。 4.PD98059等のMEK阻害剤を、他の作用機構を持つ抗癌剤と組み合わせてその作用が増強される可能性を検討したところ、チューブリン重合阻害作用を持つ抗癌剤との併用によってのみ、極めて顕著な相乗効果の発現を認め、これよりERK-MAPキナーゼ系遮断剤を基盤とした新規がん化学療法の開発に向けて大きな契機をつかむことができた。
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