研究課題/領域番号 |
12217122
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大工原 恭 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (40028733)
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研究分担者 |
西山 腎龍 鹿児島大学, 医学部, 助手 (80264422)
梶原 武弘 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (10305138)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2000年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 肝細胞増殖因子(HGF) / 細胞分散因子(SF) / 高感度ELISA / 尿試料 / 泌尿器系腫瘍 / 診断薬 |
研究概要 |
本研究はヒトHGF ELISA系を高感度化して、尿中のHGF濃度を泌尿器系腫瘍の早期発見、予後診断に利用することを目的として行ったものであり、以下の結果を得た。(1)ウサギ抗HGF抗体(IgG)をFab'化してβ-ガラクトシダーゼと結合させたものを2次抗体とし、1次抗体にはマウス抗HGFモノクローナル抗体を用いてサンドイッチELISA系(測定感度、1pg/ml)を調製した。これは、現在市販され臨床応用されているHGF ELISAの測定感度(0.2ng/ml)の200倍である。(2)健常者尿試料を用い、このELISAの回収試験、希釈試験、再現試験を行ったところ、いずれも満足すべき結果が得られ、尿試料を濃縮することなくHGFが測定可能となった。(3)上記のELISAで健常者尿試料(n=19)中のHGF濃度を測定すると、4.1-66.3pg/mlであり、これをそれぞれのクレアチニン濃度で補正すると、19.3±7.1(SD)pg/mgクレアチニンであった。(4)この濃度は、健常者血漿のHGF濃度(約200pg/ml)の1/50-1/3である。通常、尿中の血漿タンパク(例えばアルブミンやIgG)濃度は、血漿中の濃度の約1/1,000-1/5,000とされていることから考えると、我々が今回得た結果は、HGFが腎臓あるいはそれ以降の臓器で合成され、尿中に出現していることを強く示唆するものである。 上記の結果を踏まえて、種々の泌尿器系腫瘍及び炎症患者尿試料の測定を試み、診断薬としての可能性を検討したが、健常者尿中HGF濃度が予想外に高かったことから、膀胱がんや前立腺がんなどでは、平均値は健常者のそれに比べて有意に高いものの、クレアチニン値で補正しても有用なcut off値を見出すことは出来なかった。現在は、同一患者の尿中HGF濃度を病状と比較しつつ経時的に測定し、経過観察、予後診断に利用できないか検討中である。
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