研究課題
特定領域研究
各種分子標的薬の抗腫瘍効果規定因子の検討をおこなった。(1)EGFR特異的チロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブの感受性はがん細胞のEGFRの発現の有無、自己リン酸化に相関することを示した。(2)大腸がんおよび肺がんにおけるゲフィチニブとCPT-11の併用の有用性をin vitro, in vivoでしめした。EGFRの各リン酸化欠損株の樹立をおこない、EGFRリン酸化(特にTyr1068)が併用効果のバイオマーカであることを示した。(3)抗がん剤併用療法におけるcDNAアレイを用いた評価方法の確立を試みた。(4)細胞周期作用薬E7070に対する耐性細胞を樹立し、同薬剤の感受性マーカーとしてcyclin B2等を選択した。(5)血管新生阻害薬はVEGFあるいはオステオポンチンの過剰発現細胞による血管新生をより効果的に抑制することを示した。(6)細胞株レベルで各種がん細胞に薬剤接触し、遺伝子発現の変化をcDNAアレイで検討することで、薬剤特異的なバイオマーカーの選択をおこなった。また同法によって遺伝子発現変動に基づく微小管作用薬の分類をおこなった。(7)各種臨床検体のRNA抽出、保存、増幅、統計解析等の基礎的な検討をおこなった。統計解析では、再現性評価のためサンプルを測定し級内相関などによりアレイの評価をおこない、日間変動より日内変動が大きいことをしめし、必要なサンプル数が設定できた。また統計解析法、データの標準化の工夫をおこなった。(8)分子標的薬(各種チロシンキナーゼ阻害剤)の臨床第1相試験における薬物投与前後の患者末梢血単核球における遺伝子発現プロファイルをcDNA遺伝子発現アレイを用いて検討し薬剤が生物学的に適切と考えられる分子に作用している原理の証明が達成できた。有害事象に相関するバイオマーカを選択した。
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