研究概要 |
消化器癌を対象に,各種分子マーカーの発現異常を検討し,最終的に複数の分子マーカーの組み合わせにより臨床応用可能な予後解析システムを構築することを目的とする。これまでに,p16,CDC25,p57,COX-2,SMAD4,MT-MMPs,CEA,angiopoietin2などについて検討した。その結果,大腸癌のCDC25Bや肝癌,食道癌のCDC25Aなどは悪性度と密接に関わっていること,大腸癌肝転移巣におけるangiopoietin2は原発巣よりも肝転移巣で高頻度にみられ,転移巣の血管新生に重要である可能性があること、大腸癌リンパ節中のCEAなども再発予測,予後因子として重要であることなどが示唆された。今後,E-カドヘリンなどの重要な既知分子群の検討を予定している。さらにcDNA microarray(約5000個の遺伝子解析用)を導入し,重要な分子の洩れ落ちがないように併行して行なっている。 その他の2000年の研究成果を以下に示す。 A.食道癌: ・CDC25B,p53は放射線療法の感受性予測因子となる。 ・CDC25B遺伝子を食道癌細胞に導入すると放射線感受性が高まる。 ・扁平上皮の発癌過程でCOX-2の発現亢進がみられる。 B.肝臓癌: ・MT3-MMP発現は被膜浸潤と相関する。 ・Interferon alpha receptorの発現は5-FU,interferon療法の効果に関係する。 C.大腸癌 ・p57発現は腫瘍径と逆相関する ・SMAD4発現は低分化癌で低下する ・p16発現はmethylationの程度によって調節をうける,またリンパ節転移と負の相関がある D.胃癌 p16発現は,分化度と相関する。 E.胆管癌 COX-2発現は癌で亢進している
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