研究課題/領域番号 |
12218227
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渋田 健二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (70253531)
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研究分担者 |
定永 倫明 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (20304826)
井上 裕 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (90203249)
森 正樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70190999)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2000年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 乳癌 / 遺伝子多型 / catechol O-methyltransferase / estrogen receptor / 癌疾患感受性 / PCR-RFLP |
研究概要 |
乳癌の発癌や増殖進展に多大に関与しているEstrogen関連遺伝子(estrogen receptorならびにその分解代謝酵素であるCOMT遺伝子など)に注目し、日本人乳癌患者を対象に、当該遺伝子の日本人における多型部位を大規模に検索し、当該対立遺伝子が乳癌に対する個人の疾患感受性規定因子になりえるかを検討した。これまで乳癌患者201人と健常日本人175人から抽出したゲノムDNAを対象に、COMT遺伝子に対してPCR-RFLP法を用いて2本の対立遺伝子(W型遺伝子とV型遺伝子)を分離し各人の遺伝子型をWW型、WV型及びVV型に分類して、健常者と癌患者の遺伝子型の分布を比較検討した。その結果、WW、WV、VVの割合は健常者で53%、40%、7%であったのに対して、乳癌患者では42%、45%、13%であり、乳癌患者群と健常者群ではCOMT遺伝子の遺伝子型分布が有意に異なっており(P=0.04)、V型遺伝子を有する人はW型遺伝子を持つ人に比べて約1.5倍乳癌にかかりやすいことが示された。また乳癌患者群での遺伝子型分布は、閉経前発症群と閉経後発症群で有意な違いは認められず、癌の臨床病理学的因子との間にも有意な関係は認められなかった。以上より、COMT遺伝子多型は乳癌の生物学的悪性度を反映するものではなかったが、日本人の乳癌疾患感受性(癌へのかかりやすさ)を予測するのに、有用な遺伝的危険因子になりうる可能性が示された。今後、標的遺伝子の枠を拡大し、癌へのかかりやすさを様々な遺伝子多型の観点から予測できるようになれば、将来発癌に対する予防策を講じる一助となることが期待される。乳癌について国内外ともに遺伝子多型に基づいた疾患感受性の検索はほとんど行われておらず、多型分布は人種差が存在するため本邦での大規模な検索が急務である。今回の乳癌に対する解析を踏まえ、多型性を示す様々な癌関連遺伝子を載せたDNA microchipを準備中である。
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