研究課題/領域番号 |
12218230
|
研究種目 |
特定領域研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
荒木 令江 熊本大学, 医学部, 助手 (80253722)
|
研究期間 (年度) |
2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2000年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
|
キーワード | CD44 / Ras / スプライスバリアント / メタロプロテアーゼ / 細胞接着 / 細胞浸潤能 / 大腸癌 |
研究概要 |
私達研究グループは過去5年間にわたり細胞接着分子CD44分子の癌細胞における役割につき日米間共同研究を行い、1)CD44のスプライス変化と腫瘍の悪性化に密接な因果関係があること、2)腫瘍細胞に特異的に発現するスプライス型用いて肺癌、膀胱癌の遺伝子診断が可能であること、3)CD44細胞外ドメインがメタロプロテイナーゼによって切断されており、その切断と細胞の浸潤性が密接に関与していること、さらにはその切断後細胞内ドメインの切断が連鎖的に生じることをつきとめた。これらの所見に基づき、CD44のスプライシングの変化によって診断可能な癌症例の日米比較を行うこと、ならびに癌遺伝子活性化状態におけるCD44の分子変化について、日米それぞれのチームが持つ技術的協力によって、共同に解析を行うことを本研究の目的とした。各種癌組織の細胞接着因子CD44のスプライシングの変化と、癌遺伝子活性化状態におけるCD44の分子変化について、日米それぞれのチームが持つ技術的協力によって共同に解析を行った。その結果、以下の事が判明した。 1)日米大腸癌症例60例についてCD44のスプライスパターン解析し、約75%の症例でCD44v8-10が優位に発現していることを認めた。日米の症例間で陽性率に有意な差は、認められなかった。又、転移巣を持つ症例においては転移巣のない症例に比して、CD44v8-10発現陽性率が若干高い傾向にあった。 2)Rasの活性型遺伝子(Val12)を正常線維芽細胞内で誘導発現した際、細胞のCD44切断の誘導が生じ、同時に細胞の浸潤能が増加することが分かった。また、新たな所見として、CD44は細胞外ドメインで切断を受けた後、すぐに膜貫通部で再度切断を受け、その細胞内側のフラグメントは核内へ移行することを見出した。核内へ移行した断片が特定の遺伝子の転写をプロモートする役割を持つことを示す所見が得られており、これはCD44の切断が機械的な細胞接着の解除のみならず、細胞内シグナルの一部として機能していることを示唆する。
|