研究課題/領域番号 |
12301006
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松沢 哲郎 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60111986)
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研究分担者 |
田中 正之 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80280775)
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (70237139)
小嶋 祥三 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70027499)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
2000年度: 13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
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キーワード | 胎児期 / 条件付け / 新生児微笑 / 模倣 / 自閉症 / 霊長類 / 認知発達 / 進化的制約 |
研究概要 |
人間を特徴付ける認知機能がどのように発達するか。そこにはどのような進化的な制約があるか。そうした視点から、ヒトの認知機能の発達をヒト以外の霊長類と比較する研究をおこなった。系統発生的に最も近縁なチンパンジーが主要な被験者であるが、ヒト正常児や自閉症児との比較や、ヒト以外の霊長類の多様な種を対象にした研究もおこなった。チンパンジーは、2000年に生まれた3個体を対象とした。アユム(男)、クレオ(女)、パル(女)と名づけられた。これで、京都大学霊長類研究所には、3世代の老若男女がいる1群14個体のコミュニティーができた。チンパンジーの発達を身近にみる研究は、以下の点でユニークだと言える。1)妊娠から出産を経てその後の日々の発達経過を、2)1日24時間の観察・記録体制のもと、3)しかも検査者が母子と同居できる場面で、ヒトの赤ん坊の発達を見るのと同様に、同一の手法で比較研究できる。胎児期にさかのぼって、生後の認知発達を、実験的に検証した。トピックスとしては、チンパンジー胎児において、パブロフ型条件付け、あるいは条件反射と呼ぶものが、可能なことがわかった。音と振動刺激の連合を学習するものである。出産直後からの特異な行動として、ヒトと同様に新生児微笑の存在が明らかになった。3カ月ころには社会的微笑も始まる。新生児の表情模倣も確認された。表情模倣はいったん消失するが、生後9カ月ころから、改めて明瞭な模倣が始まった。自発的な発声は人間ほど多様ではない。その他、視覚・聴覚・味覚・嗅覚などの感覚・認知機能の発達についても比較資料を得た。いる。また、同様の手法で、系統発生的な比較研究を、チンパンジーだけでなく、ゴリラ、ボノボ、テナガザル、ニホンザルを対象におこなった。こうした研究と平行して、ヒト障害児の研究では、自閉症の子どもにおける発話の生起過程を解析した。
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