研究課題/領域番号 |
12302001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
前野 育三 関西学院大学, 法学部, 教授 (60079639)
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研究分担者 |
酒井 安行 青山学院大学, 法学部, 教授 (50170569)
後藤 弘子 千葉大学, 法科大学院, 教授 (70234995)
斉藤 豊治 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00068131)
荒木 伸怡 立教大学, 法科大学院, 教授 (30062665)
新倉 修 青山学院大学, 法科大学院, 教授 (10119050)
服部 朗 愛知学院大学, 法学部, 教授 (40267886)
白取 祐司 北海道大学, 法学部, 教授 (10171050)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
32,900千円 (直接経費: 27,200千円、間接経費: 5,700千円)
2003年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2002年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2001年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2000年度: 8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
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キーワード | 少年司法 / 修復的司法 / 厳罰化 / 少年犯罪 / 司法福祉 / 少年法 / 被害者 / 加害者 / 福祉 / 教育 / 拘禁の回避 / パラダイムの転換 / 循環論 / 少年法制の独自性 / 厳罰主義 / 加害者・被害者対面方式 / 成長発達 |
研究概要 |
世界の少年司法について眺めると、3つの典型がある。少年裁判所(家庭裁判所)型(アメリカ)、刑事司法修正型(ヨーロッパ)、福祉法型(北欧)の3つである。日本の少年法制は、基本的にはアメリカ型であるが、家庭裁判所が被虐待や被放任の少年を対象としない点でアメリカと異なり、児童福祉法上の手続が一定の重要性をもっている点では北欧型に似た点がないでもない。かなり独自性をもった少年法制である。1970年代以来、アメリカにおいて、少年に対する保護と適正手続が対立的に捉えられ、前者の犠牲において後者を重視する傾向が生じて以降は、日本の少年司法の独自性は、以前よりも大きくなったということができるであろう。 各国の少年法は、少年の犯罪に対する厳罰と理性的な対応との間で変化を繰り返してきた。しかし、変化の時期や形態は各国の状況に応じてさまざまである。アメリカやイギリスは、日本より十数年早く厳罰感情を基礎とする方向に法の改正や実務上の変化が生じた。現在は、厳罰化の方向はおさまっている。しかしアメリカでも、かつてのように被虐待や被放任の少年を犯罪少年と同様に扱うという方向への回帰はない。 ヨーロッパ大陸諸国(研究対象としたのはフランスとドイツ)では、戦後長く教育や福祉の方向へ続けられてきた。手続的には、刑事司法に対する少年司法の特殊性は強くないが、処遇面では、福祉と教育への配慮が行き届いたものになってきたというのがヨーロッパ型の特徴と言えよう。教育的処遇の担い手たる専門職として、フランスのエデュカテュールの制度は注目に値する。 日本の少年法は、アメリカやイギリスよりも十数年遅れて本格的な厳罰化への改正が行われた。しかし、少年司法実務は、顕著な厳罰化への変化を拒否している。 厳罰化が極限まで達して行き詰った段階で、多くの国で採用されたのが修復的司法の考え方である。日本は現在のところ、修復的司法の影響をほとんど受けていない。
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