配分額 *注記 |
44,430千円 (直接経費: 40,800千円、間接経費: 3,630千円)
2002年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2001年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2000年度: 28,700千円 (直接経費: 28,700千円)
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研究概要 |
まずGHz帯磁性薄膜材料に関し,CoNbZr,ならびにFeAlOや(CoFeB)SiO_2など新材料が開発対象のインダクタに適用可であることを独自開発のGHz帯透磁率測定装置によって見出した.また,磁性膜の磁化容易軸方向に微細スリットを設け,これと直交する磁化困難軸方向に励磁をするような使用法によって,強磁性共鳴(FMR)周波数を高周波側にシフトでき、2GHz帯では強磁性共鳴損失をほぼ零にできることを実証し,設計法を確立した. 次に,試作を通してインダクタの特性を検討した.まずSiO_2絶縁層を介してスパイラルコイルを電気めっき法により製作し,ポリイミド層による絶縁平坦化の後,磁性薄膜を0.1μm〜1μmスパッタ製膜した.その結果,2GHz,8nH, Q=5を350x350μm^2で得た.一方,サンドイッチインダクタにおいて,2GHzにおいてL=7.9nH、Q=13を200x400μm^2で実現できた。これは,本研究全体を通した目標をほぼ達成したもので,重要な成果である. インダクタの発生する高周波漏洩磁束の解析ツールとして,開口部が高さ6μm×幅50〜500μmの薄膜シールディドループプローブを開発し,1GHzで空間分解能40μmのという世界最高性能を実現させた.実測により,集積回路への電磁干渉は無視しうると判断された. 更に,RF帯における磁性膜の新しい応用として,集積回路上の伝送線路に磁性膜を集積化し,その高周波損失を利用することにより,集積化高周波電磁雑音抑制素子が実現可能であることを見出した.1GHzにおける挿入損失は0.4dB以下と小さく,20GHzでは15dB以上に及ぶ. 以上のように,本研究はGHz帯における磁性薄膜インダクタの実用可能性を実験的に強く示すとともに,軟磁性薄膜をGHz帯域で応用するという新しい学問分野の創製を提案することもでき,ほぼ所期の目標を達成できた.本研究の成果をもとに,「高周波マイクロ磁気デバイス・材料に関する国際シンポジウム」が創設されたことを付記する.
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