研究課題
基盤研究(A)
本研究は、遺伝的ゲノム再編成システムを利用して、ライムギ及びオオムギから耐病虫害抵抗性遺伝子を含む染色体小断片をパンコムギに導入することを目的とした。1.ライムギからパンコムギへの染色体断片導入本研究では、遺伝的ゲノム再編成システムを利用して1R染色体付随体に座乗する3種のさび病抵抗性遺伝子と1種のうどんこ病抵抗性遺伝子を含む染色体断片をパンコムギに導入することを目指した。すでに育成していた1R断片をパンコムギに導入した系統の中から1R付随体に切断点を持つ1R染色体断片添加パンコムギ5系統を選抜した。これらの系統を用いてさび病抵抗性、セカリンタンパク質、セカリン遺伝子配列について研究を行い、さび病抵抗性遺伝子群は有するがセカリン遺伝子を欠損している1R断片を持つパンコムギ系統を2系統得ることに成功した。さらに多くの切断点がIR付随体に必要であったので、遺伝的ゲノム再編成システムにより1R染色体に構造変異を誘発し、800個体以上をGISHで選抜し、180の構造変異した1Rを得た。また、これらのライムギ染色体断片添加系統をPCRにより選抜する目的で、ライムギ染色体に特異的なPCRプライマーの開発を行った。2.オオムギからパンコムギへの染色体断片導入本研究では、2H染色体、4H染色体、7H染色体についてFISHとGISHを用いて構造変異系統の大規模な選抜を行った。パンコムギの2H断片添加系統について高速液体クロマトグラフィーによってホーダチン生産の有無を検定し、抗菌作用のあるホーダチン生合成に関与する遺伝子は2H短腕の末端側領域に座乗することを明らかにした。各種のDNAマーカーによる4Hと7H染色体断片添加系統の解析を行った。特に7H染色体では、100以上の構造変異染色体系統を選抜し、その内、約80系統とDNAマーカー(SSR、AFLP、EST)を用いて、Radiation hybrid mappingの解析を適用した7H染色体の物理的染色体地図作製を行った。さらには、オオムギ染色体に特異的なPCRマーカーの開発を行った。
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