配分額 *注記 |
35,410千円 (直接経費: 31,600千円、間接経費: 3,810千円)
2001年度: 16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2000年度: 18,900千円 (直接経費: 18,900千円)
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研究概要 |
関節リウマチ(RA)における滑膜増殖を制御するために、細胞周期を負に制御するサイタリン依存性キナゼインヒビター(CDKI)に着目し、P161NK4a, P21Cip1をアデノウイルスベクターを用いて滑膜細胞に遺伝子導入すると、in vitroにおける滑膜増殖を抑制できるばかりか、これらの遺伝子を関節内に導入することにより、RAの動物モデルであるアジュバント関節炎及びコラーゲン関節炎の発症を阻止することができることを明らかにした(Nature Medicine 5 : 760,1999)。これらの動物モデルでは、滑膜増殖を阻止できるのみならず、炎症性サイトカイン発現も強力に抑制されることから、今回の研究ではこれら遺伝子導入による遺伝子プロファイルの変化をDNAマクロアレイを用いて解析を行った。 具体的には、RA線維芽細胞にヒトp16INK4aを含む組換えアデノウイルスAxCAp16,または挿入遺伝子を持たないAsxIW1を50MOIで導入し、3日後にDNAアレイを用いて解析を行った。その結果、AxlW1導入細胞と比較してAxCAp16導入細胞では363の遺伝子発現が2倍以上になり、334の遺伝子発現慢性が1/2以下になった。発現が増強した遺伝子の中にはp16INK4a, cyclin D3, HSP27, HSP90など、一方、発現が低下した遺伝子にはMAPKAPK-2, MAPKK5, HGF, IL-18、oncostatin M, VCAM-1, MMP-1, 2, cathepsin B, K, Wn13, Fizzled6などがあった。 以上より、P161NK4a遺伝子導入により、細胞周期関連遺伝子発現の増強とサイトカイン関連遺伝子、接着分子及びタンパク分解酵素関連遺伝子発現の減少などの種々の変化がみられたが、これらの遺伝子変化がp161NK4aを用いた遺伝子治療の有効性に関与していることが考えられる。今後、アデノウイルスベクターを用いた遺伝子療法の実用化にあたっては、アデノウイルスのarthritogenicityを減少させ、感染効率を向上させるなどの工夫が必要と思われ、現在検討中である。
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