研究概要 |
1.これまで『ジャータカ』を含め、初期仏教文献の重要な原典テキストはパーリ文献協会(PTS, Oxford)より計画的に発行され、研究者に多大の便宜を供してきた。しかしながら、これらの原典テキストには語彙索引が殆ど付されていないのが現実であり、付されている場合でも不完全で誤りが多く、完全な語彙索引が研究者に切望されている。2.当該研究期間では,(1)前課題より継続していた『ジャータカ』の語彙索引を作成できた.これは非常な大冊(PTS形式の出版で全3巻)となってしまうので,新しい試みとしてそれをCD-ROMで公表した(30MB,2002年1月).(2)『ヴィスッディ・マッガ』については,ノーマン教授から提供されたPTS版と異なる電子化テキストをPTS版に整備して,その新版の出版用のため協会に提供した(2001年9月).(3)『ヴィスッディ・マッガ』の語彙の正順索引を現在作成中であり,本年(2002年)3月には本の形式で出版するためPTSに提出予定である.このように初期の目的をほぼ達成した.3.又,初期仏教文献の重要な4冊の原典,テーラガーター・テーリーガーター・スッタニパータ・ダンマパダの総語彙索引の出版(2000年),仏教混淆梵語の重要な2冊のテキスト,プラーティモークシャスートラ(2001年)とビクシュニヴィナヤ(2002年)の語彙の正順と逆順索引を出版した.又,人文科学とコンピュータ研究会等で関連論文を発表した.梵文『法華経』の系統分類については2本の和文論文を発表した.現在,その英文化したものをオックスフォード大学より出版されている,Literary and Linguistic Computingに投稿中である.その他「インド・アーリヤ語古文献の研究に最適な統合的計算機処理システム構築とその活用」に基づき,蓄積してきた計算機ツールの公表に向け準備している.
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