配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
2002年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2001年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
2000年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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研究概要 |
本研究では、以下の問題を検討し,現象的な特性を明らかにしつつ,メカニズムを探求した。 (1)「書き割り効果」 自然な光景の中に立つ人物のステレオ写真などで,人物が平板に見えてしまう現象である.この現象では視差が奥行知覚を生み出さない.この問題について,主観距離による視差のスケーリング,背景との奥行き対比との関連を明らかにした. (2)「逆転視差錯視」 ステレオ写真の左右を入れ換えても,気がつかないことが多い.対象物が複数ある場合には対象物相互間の奥行きは逆転しても,対象物の内部の奥行きは逆転しない.この現象では,視差の極性が反転する,もしくは視差情報が抑制され,他の系からの奥行知覚と置き換えられていると考えられる.我々はこれまで顔画像に関してトップダウン情報の関与を明らかにしてきたが,これを一般的な物体に拡張し,一般的な凸面嗜好,および対象内奥行き,対象間奥行きとの関連を明らかにした.以上の(1),(2)の現象は,刺激を動画像として提示した場合の現象の生起を検討した. (3)「裸眼立体視の像の大きさ」 ステレオスコープを用いず,並べた画像に対し視線を平行,または交叉させて融合させた場合(裸眼立体視),交叉融合を行うと対象物が,平行融合時,または1枚の写真を見た時に比べ小さく感じられる.交叉融合では輻輳情報から距離が近くなり,画像の主観的な大きさが過小評価されるためだとされることが多い.この現象と輻輳による距離知覚,更に大きさ評価のための距離の内部表象との関係を明らかにした. (4)「対象内奥行き,対象間奥行き」 書き割り効果,逆転視差錯視ともに,一つの対象物内部の奥行き構造と,対象間の奥行き構造との差異という観点から説明できる.本研究では,全体的な学術的な中心はこの概念を確立することにあるが,ステレオ写真の研究と平行して,従来型の心理物理実験による検討を行いアイデアの妥当性を探った.
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