研究課題/領域番号 |
12410065
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
辻 勝次 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60066719)
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研究分担者 |
樋口 博美 専修大学, 文学部, 助教授 (70313624)
湯本 誠 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (00240169)
村上 文司 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (40210017)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 職業経歴 / 職業能力 / キャリア / キャリア・アンカー / 長期雇用 / 外部労働力 / 非正規雇用 / トヨタ / 労働社会学 / 職業社会学 / トヨタ技能職場 / キヤリア |
研究概要 |
2000年4月に発足した研究活動は2004年3月末までの研究期間中に18回の研究会・調査活動を行いトヨタ、コマツ工機、ワコール、島津の事務・技術社員、技能系社員合計96名に面接できた。報告書は全文360ページになった。詳細は研究成果報告書『新しい職業能力と職業経歴の動向に関する研究』の終章を見ていただくとして、主な発見事実は以下である。 (1)全体としてはホワイトカラーもブルーカラーも長期雇用システムの下で順調にキャリアを蓄積し職業能力を向上させている。トヨタ、島津、ワコール、コマツに関しては1990年代にも日本的雇用慣行を根底から変えるような人事管理政策の転換はなかった。人事管理の基本原則は80年代の企業主導の入社年度別・年功管理から自己責任による成果主義へと移行はしているがその進め方は慎重であり時間をかけている。 (2)1980年代との違いという点でいうと、ホワイトカラー、ブルーカラーともに、A:能力主義管理が進展している、B:キャリアの複線化が進んでいる、C:キャリア形成主導権が会社から労働者自身の主体的選択へ移行している、D:労働者はこれらの変化を概ね好感していて、著しい不満や反発は生じていない。 (3)ホワイトカラー、ブルーカラー両領域に派遣労働者、契約労働者など非正規の外部労働力が導入されていて、職場レベルでは正規社員の労働時間や気遣いなどの負担が増加している。しかし、外部労働力の進出が自己自身のキャリアにたとえばリストラや代替えなどの形で直接影響するとは認識されていない。 (4)ホワイトカラーでは事務系、技術系を問わず昇進への関心が高く、人事に対しては分りやすく公正な人事が行われることを望んでいる。他方では労働者の側からの直訴や売り込みが盛んに行われている。キャリア形成における主体性の発揮は新しい現象なのか以前からもそうだったのか、今度の検討課題である。 (5)ブルーカラーでは技能修得機会への関心が高く、職場としては高度熟練技能者の技能継承と現場監督者の育成・確保が当面の重要課題となっている。 調査対象企業では会社主導の入社年次別職種別キャリア管理が行われていた1980年代に比べれば個人主義的・成果主義的管理への移行が徐々に進んでいるが、その動きは時間をかけたものであり、労働者には依然として組織志向がみられ、アメリカ型の市場志向への移行は当分先のことになろう。労働市場の流動化という最近の話題からいうと、流動化しているのは派遣や契約、フリーターなどが大量に登場してきた外部労働市場の現象であり、内部市場は意外と落ち着いている。問題は職場に進出した非正規労働者が、今後、職場分業編成を通じて正規労働者の地位にどのようなインパクトを及ぼすかであろう。
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