研究分担者 |
吉田 香奈 山口大学, 大学教育センター, 講師 (30325203)
仙波 克也 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40033550)
羽田 貴史 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (90125790)
金子 勉 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (40263743)
羽田 積男 日本大学, 文理学部, 教授 (60156346)
阪口 要 広島大学, 経済学部, 教授 (80033752)
南部 広孝 広島大学, 高等教育研究開発センター, 助手 (70301306)
米澤 彰純 広島大学, 高等教育研究開発センター, 助教授 (70251428)
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研究概要 |
3年間の調査研究によって,次のような成果が得られた。 第1に,先行する独立行政法人及び私立大学の財務運営制度と運用実態の調査および研究会から,独立行政法人制度の会計基準,予算配分方法,財務会計手続きが明らかになり,必ずしも財務運用は柔軟でないこと,独立行政法人制度の成立過程から,制度設計の検討の不十分さが指摘できた。 第2に,オーストラリア,アメリカ,韓国の大学財務運営の調査研究から,学生人口急増などの外的条件の変化に対応したカリフォルニア州の財務運営,オーストラリアにおける企業的な財務運営の構造を明らかにした。いずれも,業績評価と資源配分の関係,財務権限の集中化などが指摘される一方,フォーミュラ・ファンディングによる財政配分が行われるなど,法人型財務も多元的であることが指摘できる。 第3に,国立大学財務に関する質問調査によって,全国立大学および部局(学部・大学院・研究所)レベルの概算請求過程、予算決定過程,予算配分過程および財務に関する意見を把握することができた。結果は,国立大学財務運営の定型的なパターンと問題が明らかになった。予算配分においては,評議会附属の予算委員会が学長よりも影響力を有するなど,同僚制を基盤とした財務運営であり,今後,調整型リーダーシップからの変化が予測されること,財務上,学長・部局長のリーダーシップを支える学長裁量経費・部局長裁量経費の制度化など集権的財務が進行していること,約70%の大学,90%以上の部局が,中・長期計画を有しているか策定ないし計画中であり,計画に基づく大学運営への移行が進行していることである。さらに,計画-実行-評価のサイクルと結びついた財務運営の成立も指摘できる。こうした運用を踏まえての国立大学法人化に関する検討状況は,収入確保方策よりも配分に傾斜しており,大学への政府支出が減少すると予測されていながら,それへの対応方策が立ち遅れていることが看取できる。また配分では,業績評価に基づく配分の導入および検討が進んでいるが,給与までの連動はごくわずかである。トータルな財務運営は,部局での分権化による対応と全学的な集中管理による対応という2つの方向が,それぞれ部局と全学の回答とで対立しており,両者の調整と,単科大学・複合大学・総合大学といった規模の違いによっても,適合的な財務運営の形態を模索する必要が浮かび上がっている。
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