研究分担者 |
小野 嘉夫 大学評価・学位授与機, 構・学位審査研究部, 教授 (10016397)
神谷 武志 大学評価・学位授与機, 構・学位審査研究部, 教授 (70010791)
舘 昭 大学評価・学位授与機, 構・評価研究部, 教授 (50116282)
小林 雅之 東京大学, 大学総合教育研究センター, 助教授 (90162023)
濱中 義隆 大学評価・学位授与機, 構・学位審査研究部, 助教授 (10321598)
森 利枝 大学評価・学位授与機, 構・学位審査研究部, 助教授 (00271578)
齋藤 安俊 大学評価・学位授与機, 構・学位審査研究部, 教授 (40005236)
白鳥 義彦 神戸大学, 文学部, 助教授 (20319213)
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研究概要 |
大学外(非大学)高等教育機関は,伝統的大学よりも短い修業年限で高度な実用的教育を提供するという特徴をもち,幅広い層の多様な高等教育需要に応える役割を果たしている。21世紀の高度学習社会においては,生涯をつうじて必要な時に大学や大学外の高等教育機関で学習し,履修成果を積み重ねる形の学習需要が拡大していくと予想される。大学外の高等教育機関で学んだ学生が大学等でさらに学習を続け,学士の学位を取得する学修形態はアメリカの例がよく知られるが,今後,流動化が進むにつれて日本,ヨーロッパにおいてもそうした学習需要が高まると考えられる。 こうした趨勢のなかで重要さを増しているのが,高等教育機関で提供される教育課程の単位化とモジュール化,学修の体系性と質・水準を保証する方法,そして国内のみならず国を超えて単位互換と学位・資格の相互認証を可能にする制度・手続きである。本研究ではこのような問題関心から,大学外高等教育機関と大学を対象に,学生の移動と学修の体系性,授与される学位・資格の国内および国家間での承認に関して比較研究を進めてきた。 欧米先進国については,アメリカではコミュニティー・カレッジから大学への移動が主流を占めるものの,上位の学位・資格を目指す上方移動ばかりでなく下方移動(reverse transfer)も少なくない。また,一定の短期間の学修に対して,履修証明書(Certificate)を与える学修形態も増えている。他方,ヨーロッパでは1999年の教育担当大臣会議における「ボローニャ宣言」採択後,EU域内の学生移動を推進するべく各国で改革が進められている。その一つがECTS(European Credit Transfer System)に準じた単位制度の導入,大学の教育課程を学部と大学院とに区分する2段階制の採用,ならびに高い国際的通用性が期待される学位Bachelor, Masterの導入である。 日本については,4年制国公私立大学の全学部を対象に全国アンケート調査を実施した。その結果から,(1)学生の移動(編入学)は短期高等教育機関から大学への上方移動が主流であるものの,短期大学から系列4年制大学への編入,高等専門学校から国立工学系学部への編入,4年制大学から自大学・他大学への学士編入など,編入学のあり方に一定のパターンが存在すること,(2)編入学者の受け入れにあたっては,編入学前に短大・高専等で行なった学修の内容を問わずに単位認定が行なわれるケース(包括認定)が3割にのぼることなどが明らかになった。 システム内およびシステム間での流動化の要求が高まるにつれて,単位・モジュールの標準化,履修単位の互換,学位の相互認証,そしてこれらの前提として高等教育の品質保証メカニズムが必要となっていることは各国共通の課題である。
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