研究課題/領域番号 |
12410100
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 彰一 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (80131126)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ポスト・ローマ期 / ランゴバルド王国 / セナトール貴族 / 行政実務文書 / スレート文書 / 西ゴート国家 / アングロ・サクソン七王国 / トライバル・ハイデジ / 西ゴート王国 / サラマンカ / レリア・タイプ / ディエゴ・アルヴァロ・タイプ / 西ゴート書式集 / レカレッド / 売買文書 / 碑文学 / 古書体学 / スペイン / 出土記録 / 法律文書 / 行政文書 / トライバル・ハイデイジ / アングロ・サクソン / スレート板文書 / 租税徴収文書 / パピルス紙 / パピルス文書 / 滅失文書 / エジプト / 史科学 / G.マリーニ / J.O.ティエダー |
研究概要 |
本研究の目的はこの時代の行政文書の使用態様を明らかにすることにより、いかに文書に依存するところ大きかったかを実証的に明らかにし、その国家性の根拠のひとつを明示することであった。 西ローマ帝国消滅後の西欧で、豊富な伝来史料を有するのはイタリアであり、東ゴート期、ランゴバルド期を通して、文書による統治実践は基本的に維持された。だが微視的に見ると、そこには文字記録作成とそれらの保存管理への親妥の変動もあった。7世紀初めには行政文書作成の退潮が見て取れるが、それはN・エヴェレットの研究によれば、美文への嗜好の弱化が根底の原因として挙げられる。セナトール貴族の文字文化の審美的探究が、実は最も日常的で、凡庸な記録形態である行政実務文書が日々生産される現実を下支えしていたとするその所説は、ランゴバルド王国だけでなく文字文化一般の理解にとっても、非常に示唆的である。 西ゴート国家は、行政文書を一点も残していない。この事実は長く西ゴート国家が行政文書を作成する伝統を持たなかったのがその理由と考えられたが、1967年にマドリッド国立文書館で偶然西ゴート国王文書の断片と思しき数点の羊皮紙が発見された。僅かの断片的記録しか伝来していない理由として、人為的かつ体系的破壊が想定されている。西ゴート国家に独自な文書形態として、地中から出土する粘板岩に刻まれたいわゆるスレート文書がある。これは西ゴート国家における公文書の存在形態と、密接な関係が考えられる。重要なのは西ゴート国家においても統治実践面で、文字記録が用いられていたことが確実と思われる。 アングロ・サクソン七王国の一つであるマーシア国家で作成された「トライバル・ハイデジ(TH)」は、国家的賦課をになう地域とその負担量を一覧にした記録である。現存の三写本は全て後代の写しであり、原本は存在していない。またこの種の記録は孤立したものではあり得ないが、周辺的文書は一切現存していない。THがその最終帰結であるところの、個別税査定に始まる一連の文書作成プロセスをが解明するのが今後の課題である。現時点ではこの文書に内在する情報の性格に依りながら、論理的想定として、この時代のイングランドに紛れもなく実務的文字記録作成の慣行が実在した事実を確認することで満足しなければならない。
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