研究概要 |
本研究では、経験的パラメータ(実験データ)を一切含まない第一原理電子状態計算により、ZnO低抵抗p型の透明金属化するための価電子制御法を理論的に探索し、つぎに遷移金属(Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu)を高濃度にドープして、p-d混成を制御することにより光を通して透明で、しかも強磁性体状態が安定な新物質を実現するための物質設計のガイドラインを提案した。遷移金属を高濃度にドープして、常磁性状態、反強磁性状態、および強磁性状態の全エネルギーを比較し、強磁性状態実現のための条件を探り、これらを明らかにした。さらに、これらの結果に基づいて、光により強磁性状態を発生したり、強磁性状態を消したりすることのできる光誘起強磁性体創製のためのマテリアルデザインを行った。具体的には、経験的パラメータ(実験データ)を一切含まない第一原理電子状態計算により、遷移金属不純物を(Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu)をZnOに高濃度にドープして、不純物の3d電子準位を変えることによりp-d混成を制御して、可視光を通して透明な強磁性体状態およびスピングラス状態の計算に基づいてマテリアルデザイン用データベースを完成した。また、アクセプターおよびドナーをドープすることによる強磁性状態とスピングラス状態の安定性に関するデータベースを基に、強磁性体金属状態からスピングラス状態、スピングラス状態から強磁性金属への転移を利用した、脳型メモリーや脳型演算装置などの半導体スピントロニクス用のデバイスデザインをおこなった。さらに、光誘起によるスピングラス・強磁性体転移を利用したデバイスデザインを行った。
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