研究概要 |
1.木星シンクロトロン電波観測受信システムの整備を行い,システムが出す雑音の低減化,アンテナコントロール部回路の変更・改修を行い,システムの安定性を上げたうえで、各種試験観測を行い、木星シンクロトロン電波観測受信システムを完成させた。 2.システム全体の位相・利得較正を計算機により自動的に行うソフトウェアの開発により,高速で信頼性の高い較正システムが完成した。また,長期にわたり木星シンクロトロン電波の絶対強度変動を観測するために必須な,大型アンテナ鏡面精度計測方式を独自に開発し,計測のアルゴリズムを確立した。 3.名古屋大学太陽地球環境研究所の木曽観測所及び富士観測所の327MHz電波望遠鏡を用いた木星メートル波の同時観測を実施し,変動の絶対値を正確に求めた。 4.木星磁気圏における高エネルギー粒子データを解析し,イオンの異方性をモデル化することにより木星磁気圏境界域(magnetopause)の太陽風に対する応答(境界域の運動),および磁気圏内に存在する粒子分布境界を導出した。 5.木星放射線帯とカウンターパートをなす地球放射線帯内帯について,電子のピッチ角分布を詳細に検討する研究から,従来報告されていなかった特異な分布を発見し,この分布とプラズマ波動との相互作用過程を提唱した。 6.放射線帯外帯の相対論的電子の磁気嵐時の変動に関してデータ解析とシミュレーション実験とを行い、放射線帯電子の加速過程に関する新しいメカニズムを提出した。 7.ユリシーズ探査機による木星磁気圏起源高エネルギー粒子データの解析から、粒子バーストと電波バーストが同期して木星磁気圏から惑星間空間に放出されている事実を実証した。
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