配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
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研究概要 |
本研究は島弧玄武岩マグマからの脱ガス過程の解明を目指して,次の3つのアプローチをとった.(1)脱ガス前にマグマが保有していた水の量を斑晶鉱物中に含まれるガラス包有物の解析から求める.(2)高圧実験により,島弧マグマの含水条件での結晶作用を明らかにする.(3)斜長石の化学組成に着目した水量計を開発し,島弧玄武岩マグマの含水量を推定する手法を開発する.高圧実験は伊豆大島の玄武岩を用いて,地球物理学的手法により推定されているマグマ溜りの深さに相当する圧力下でおこなった.その結果,晶出する斜長石の化学組成とマグマ中の含水量の比例関係が定式化され,玄武岩マグマに適用可能な,含水量推定手法がはじめて利用可能となった.この関係からは,伊豆大島をはじめ島弧のフロント火山に見られるCaに富む斜長石斑晶の化学組成を説明するためには3%以上の水がマグマ中に含まれていることが要請される.ところが,天然のCaに富む斜長石斑晶中のガラス包有物を解析したところ,ガラス包有物中の水の量は最大1.5%であった.この矛盾の原因として,一旦斑晶中に取り込まれたメルト包有物内の水が解離し,水素成分のみが拡散によって散逸した可能性が考えられる.また,3%以上の水を含むマグマが地下浅部まで上昇する際に,発泡が生じず過冷却状態になって,浅部で脱ガスと同時に斜長石斑晶の結晶化が進行した可能性もある.このことを確認するため,別の揮発性成分である硫黄成分の測定もおこなった.その結果氷の減少に対応して硫黄も減少していることから,後者の可能性が高いことが判明した. 同様の研究を三宅島火山,富士火山の宝永噴火,貞観噴火の際のスコリア試料についてもおこない,玄武岩マグマからCaに富む斜長石を晶出するには,比較的多くの水が必要であること,また,斜長石の晶出は玄武岩マグマから揮発性成分が脱ガスする際に生じる可能性が高いことが分かった
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