配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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研究概要 |
trans-スチルベンおよびビフェニルと四塩化炭素との光化学反応の動力学をフェムト秒の時間分解測定を利用して明らかにした.本来は数十ピコ秒よりも長い時間領域に対して成立する拡散律速反応理論で測定された動力学がよく説明された.この結果は,2から3ピコ秒の時間領域での分子運動に対しても並進拡散の概念を適用できることを示唆する. 2-アミノピリジンと酢酸との会合体における光誘起2重プロトン移動反応の機構を研究した.ピコ秒時間分解けい光スペクトルの測定などから,この2重プロトン移動反応が段階的に進行することを明らかにした.会合体が数ピコ秒の間維持されることが反応を進行させる上で本質的に重要な役割を果たすことを示すことができた. 最低励起1重項(S_1)状態のtrans-スチルベンのtrans-cis異性化反応の速度と溶媒との相互作用の関係を議論するために,異性化速度とラマンバンド形の温度依存性を3種類の溶液中(ヘキサン,オクタン,デカン)で測定した.溶媒との相互作用の大きさと持続時間,および頻度が反応速度とラマンバンド形の双方を決定するというモデル(dynamic polarization model)で実験結果を矛盾なく再現できることを示した. SDSミセルの疎水部で生成したスチルベンカチオンラジカルが20ps程度で疎水的環境から親水的環境に並進移動する一方,同時に生成する電子の並進移動には1から2psを要することを示唆する結果を得た.ミセル中に可溶化された分子の光イオン化によって生成するカチオンラジカルと電子の双方の動力学の端を明らかにすることができた.
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