研究概要 |
1.ジチイランの化学(i)単体硫黄の酸化物S_8Oとジアゾ化合物との反応を検討し,目的のジチイランオキシドを合成することに成功した。(ii)ジチイランオキシドの脱酸素反応をローソン試薬を用いて検討し,ジチイランを得ることに成功した。(iii)ジチイランオキシドおよびジチイランと(Ph_3P)_2Pt(C_2H_4)の反応検討し高い収率で白金挿入生成物を得た。 2.テトラチオランの化学(i)テトラチオランをジメチルジオキシランで酸化すると,まず2-オキシド,次いで2,3-ジオキシドが生成することを明らかにした。2,3-ジオキシドは溶液中-20℃以上でジチイランオキシドとS_2Oに分解することがわかった。(ii)テトラチオラン2-オキシドと2,3-ジオキシドのそれぞれについて(Ph_3P)_2Pt(C_2H_4)との反応を検討し,白金-S_2O錯体を得た。これはもう一当量の(Ph_3P)_2Pt(C_2H_4)と反応して新規な白金2核錯体が高収率で生成することがわかった。 3.ペンタチアンの化学(i)ペンタチアンのトリフルオロ過酢酸酸化で3-オキシドが,ジメチルジオキシラン酸化で1-オキシドが主に生成することが分かった。(ii)3-オキシドと白金(O)錯体との反応では,環状の(ジチオラート-チオラート)白金錯体および白金-S_2O錯体が高収率で生成した。 4.1,2,4-トリチオランの化学(i)シス-4置換-1,2,4-トリチオランをジメチルジオキシランで酸化したところ,2つの1-オキシドが生成した。それぞれをさらに酸化したところ,一方から,目的1,2-ジオキシドが,もう一方からは1,1-ジオキシドが生成した。1,1-ジオキシドは溶液中室温で2モル当量のチオケトンへと分解した。一方,1,2-ジオキシドは重クロロホルム還流温度で2モル当量のチオケトンへと分解し,2つの1-オキシドはキシレン還流温度で同一のチイランへと分解することがわかった。(ii)トランス-四置換-1,2,4-トリチオランのMCPBA酸化で得られる2つの1-オキシドをジメチルジオキシランで酸化したところ,一方からは2種類の1,2-ジオキシドおよび1,1-ジオキシドが生成し,もう一方の1-オキシドからは1種類の1,2-ジオキシドのみが生成した。2つの1,2-ジオキシドの間に平衡があることがわかった。
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