配分額 *注記 |
15,200千円 (直接経費: 15,200千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2001年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2000年度: 9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
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研究概要 |
本研究では、Ru酸化物系において、高温超伝導体を探索し、単一相化すること、その構造を決定しSr_2RuO_4や銅酸化物高温超伝導系と比較検討すること、その発現機構に関係していると思われる物性を調べることを目的とし研究を行っている.本年度は,これまで見つかってきた新奇な超伝導体であるRSr_2RuCu_2O_8(R=Gd, Eu)や5d系パイロクロア型酸化物超伝導体Cd_2Re_2O_7などの化合物に対し,詳細な物性測定と微視的な核磁気共鳴測定を行い,クーパー対の対称性や超伝導発現機構に対する強磁性的相互作用の役割を明らかにする実験を行った.これらの結果を踏まえ,更に物質合成にフィードバックさせることにより、金属強磁性体ペロブスカイト酸化物をはじめ、弱強磁性体であるパイロクロア酸化物やダブルペロブスカイト相酸化物などの磁性相を中心としてその近傍に,銅酸化物系と類似で磁気的相互作用が超伝導機構と密接に関係しているRu(Re)酸化物系での新奇高温超伝導体や,Ru(Re)の複合酸化物系における磁性と超伝導の共存する化合物についての探索・合成の研究を総合的に行った.まず,EuSr_2RuCu_2O_8について^<99,101>RuのNMR測定を行うことによって,Ru層の強磁性秩序とCuO_2面の超伝導とが共存していることを明らかにした.ついで,新規超伝導体Cd_2Re_2O_7が200Kで構造相転移を示し,その際,銅酸化物高温超伝導体と同様にスピンギャップ的な振る舞いを示すことを核磁気緩和実験によって見出した.また,スピンギャップの形成と同時に強磁性スピン揺らぎが生き残り,それが超伝導の発現に大きく寄与していることを見出した.さらに,一次元的な電気伝導性を示すRu酸化物Na_3Ru_4O_9が擬ギャップ的振る舞いを伴うスピン一重項転移を示すことを見出した.以上を総括し,本ルテニウム酸化物超伝導体の超伝導発現機構について議論し,磁性と超伝導の関連について議論を行った.また,本研究の結果として,Bi_4Cu_3V_2O_<14>などの様々な低次元化合物が見出された.
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