配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
2002年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2001年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2000年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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研究概要 |
ケテンとオレフィンの反応によるシクロブタノンの生成反応がStaudingerによって報告されて以来,約100年たつ。この報告以後,ケテン-オレフィンの環化付加反応は有機合成に幅広く利用され今日にいたっている。このように広く一般的に知られ,利用されているにもかかわらず,その反応機構は解明されていない。このケテン-オレフィンの環化付加反応について,各種の基質(ビニルエーテル類やシリルビニルエーテル類)を用いて真の反応の初期生成物は何かを実験的につきとめることをおこなった。ケテンとエチルビニルエーテルおよびメチルイソプロペニルエーテルとの反応における初期生成物はα-メチレンオキセタン中間体であることをつきとめた。ケテン-オレフィンの環化付加反応についてNMR, IRおよびUVスペクトルの各機器分析方法を用いて,低温から高温にいたる種々の温度における詳細な反応過程のモニターをおこなった。最新の低温機器分析測定法を用いてモニターによって見い出した不安定中間体の構造を明らかにした。さらに,最新の分子軌道理論によって反応機構についての詳細な検討を行なった。以上の実験結果から,ケテンのC=O結合を通した[2+2]C=O環化付加反応によるα-メチレンオキセタン生成に一般性があること,つまりケテン-オレフィン反応の本質は,[2+2]C=O環化付加反応であることを確立した。また,従来概念量として考えられてきた双性イオン中間体を実存量としてスペクトル的に検出することに成功した。そしてこの双性イオン中間体はα-メチレンオキセタン中間体の前ではなくあとに生成することを明らかにした。
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