研究課題/領域番号 |
12450003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
花栗 哲郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (40251326)
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研究分担者 |
前田 京剛 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70183605)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
2001年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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キーワード | 磁束フロー抵抗 / 電子比熱係数 / 表面インピーダンス / 走査型トンネル顕微鏡 / 高温超伝導体 / NbSe_2 / YNi_2B_2C / 電界イオン顕微鏡 / 電荷密度波 / 磁束 / Kramer-Pesch効果 / マイクロ波伝導度 / 走査型トンネル分光 |
研究概要 |
本研究では、高温超伝導体、NbSe_2、YNi_2B_2Cといった、磁束芯の直径よりも準粒子の平均自由行程が長いクリーンな第二種超伝導体の磁束状態における電子状態を、表面インピーダンス測定、比熱測定、走査型トンネル電子顕微鏡(STM)による表面電子状態測定によって研究し、超伝導混合状態における新物性の探索を行った。 まず、熱的擾乱の影響を避けるため、0.5Kという極低温環境で動作する磁場中表面インピーダンス測定システムを完成させた。これを用いて、高温超伝導体YBa_2Cu_3O_yと異方的s波超伝導体であるクリーンなYNi_2B_2Cの磁束フロー抵抗を測定した。YBa_2Cu_3O_yでは、磁束芯がいわゆるmoderately cleanな状態にあり、古典的な常伝導芯とは異なることが解った。また、YNi_2B_2Cの磁束フロー抵抗が通常のBardeen-Stephenモデルから期待される値に比べ、2倍程度大きくなっていることを見出した。この結果は、超伝導ギャップの異方性が磁束芯内部での準粒子緩和に大きな影響を与えていることを意味している。 また、純度の異なる様々なNbSe_2において磁束状態における電子比熱係数の測定を行い試料全体の準粒子状態密度が、純度が向上するにしたがって通常期待される磁場に比例した振る舞いから大きく逸脱することを見出した。重イオン照射によって多数のピン止め中心を導入した試料でも同様な異常が観測されたことから、異常の原因は磁束芯外部にあることがわかった。NbSe_2では超伝導と電荷密度波(CDW)が共存するが、詳細な電気抵抗率の測定と本研究で開発した極低温STMによるCDWの直接観測の結果、状態密度の異常はCDWの発達と非常に強い相関があることが解った。 STMは装置の開発に予想外の時間がかかり、磁束系へ十分な応用はできなかったが、Mott転移近傍の電子状態の解明に成果を上げることができた。
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