研究概要 |
1.斜角横波超音波の閉じたき裂に対する応答ならびにその機構の解明 種々の閉じ具合で微小な深さの二次元疲労き裂を有する試験片を作製し,こえら試験片(裏面き裂)を用いて斜角深傷による横波超音波応答の感度を60〜70°を含む種々の屈折角に対して系統的に比較して,き裂の広い寸法範囲に対して有効で,最も高感度な応答を実現する屈折率を50°と特定した。 2.閉口き裂に対する斜角横波超音波応答の理論モデルの構築 き裂深さ,き裂閉口圧の情報を含む横波応答曲線の形状に着目し,き裂閉口圧に依存して生じるき裂面での超音波の反射を組み込んだ斜角横波超音波受信強度分布の簡易解析モデルを構築した。 3.簡易型の逆問題解析によるき裂寸法・閉口圧の評価と検証 (1)微小な深さの二次元閉口き裂による検証 はじめに開口き裂に対する受信強度とき裂深さの関係を得,次に閉口き裂と開口き裂に対する受信強度比で与えられる反射係数と閉口圧との関係を得た。さらにこれらの関係を,2.で構築した斜角横波超音波受信強度分布の簡易解析モデルと照合することで,未知の二次元閉口き裂のき裂閉口圧(応力),き裂深さを逆問題解析により評価することに成功した。 (2)微小な三次元閉口き裂への展開 上記二次元き裂による検討を踏まえ,微小な三次元閉口き裂に本手法を展開した。三次元き裂を微小要素に分割することで,各微小要素を二次元き裂に近似し,三次元き裂のき裂前縁に沿って各微小区間毎に逆問題解析を実施することにより,(1)で構築した本手法を微小な三次元閉口き裂へ適用可能にした。 (3)微小な三次元閉口き裂による検証 微小な三次元閉口き裂を有する試験片を種々の条件で作製し,(2)で検討した方法により逆問題解析を実施することで,三次元閉口き裂のき裂閉口圧(応力),き裂形状を評価した。
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