研究概要 |
研削では砥石周速を超高速化すれば,理論的にはそれに比例して研削能率を向上させることができる.筆者らはすでに周速400m/sが可能な超高速研削盤を開発したが,これまで砥石の回転強度の問題から,周速300mm/s以下での研削実験しか実現していない.ところで高周速化の最大の利点は,研削の高能率化にある.そこで本研究では,周速400m/s域での高能率研削切断の実用化を目指して,切断ブレードの開発を行った. (1)フランジおよびブレードの構造解析 実用化に配慮してフランジ方式によるセンタ穴付きブレードとし,ブレードとフランジ間の摩擦の存在を考慮したモデルを仮定した.その結果,ブレードとフランジにチタン合金もしくはCFRPのような比ヤング率の大きいものを用い,フランジの締結力を大きくすれば,周速度400m/sでの研削切断が可能であることがわかった. (2)切断ブレードの超高速回転試験 この結果に基づいてフランジとブレードを試作し,超高速域(20,000〜35,000rpm(459m/s)で回転試験を行った.試験は,単純自由回転円板の場合と,フランジを使用し締め付け圧を変数にした場合について行った.その結果,炭素鋼材のブレードではフランジを使用しない場合には,30,000rpmで内周部に円周方向の塑性変形ひずみが生じた.またフランジを使用した場合には,締め付け圧が小さい場合には,センタ穴および取り付け穴周辺に塑性変形が認められたが,締め付け圧を大きくするとほとんど塑性変形は認められなくなった. (3)超高速研削切断実験 この結果に基づいて,チタン合金製のフランジを使用し,チタン合金コアでメタルボンドのブレードを試作し,周速度400m/sでの研削切断に成功した.
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