研究概要 |
本研究では,超精密・高速位置決めテーブルシステムにおける更なる高性能化を実現する上で重要となる広域動的特性の向上を目的として,電界の印加により粘度が変化するER流体を応用したテーブルシステム,超精密・高速テーブルシステムに対する繰返し制御の適用,並びにテーブルの非接触駆動が可能で推力リップルが存在せず高速・高加速駆動が可能なハイブリッドリニア駆動機構をそれぞれ新たに提案するとともに,実際にテーブルシステムを設計,試作することにより,提案したシステムの有用性について詳細な検討を行った.その結果,以下のような研究成果が得られた. 1.ER流体を応用した超精密・高速位置決めテーブルシステムを開発し,ER流体の特性とテーブルの動特性との関係について検討を行った結果,ER流体に電界を印加することにより,テーブル送り方向の動特性が向上することを明らかにした.さらに,従来ほとんど検討されていなかった微小剪断ひずみ領域におけるER流体の粘弾性特性を明らかにした. 2.複数の因子の影響を一括して補償可能な繰返し制御を超精密位置決めテーブルシステムに適用することにより,目標値追従精度の向上が可能であることを実際のテーブル駆動実験により明らかにした. 3.ボイスコイルモータと粗動機構を組み合わせたハイブリッド駆動機構を提案するとともに,実際に空気静圧案内方式の非接触支持・駆動形位置決めテーブルシステムを構築した結果,広範なテーブル駆動条件におけるナノメートルオーダの位置決め精度を実現し,提案した駆動機構の有用性を明らかにした.
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