研究概要 |
本研究ではマクロからミクロにわたる広範囲な尺度で接触の様子を解明するために,スパッタ薄膜を用いて接触部の検出を行なう方法の現出精度を明確にするための実験を行った.滑らかな鋼球とV型溝付きガラス平面の押し込み実験により,(1)主に溝部の変形による接触部の検出と,FEMによる2次元解析の結果がよく一致することが分かった.次に,粗い面のヘルツ接触実験により,(2)接触部を測定する場合の精度としては,水平方向で10〜30nmであると考えられる.(3)圧力分布は,従来ヘルツ接触の場合に比べて接触こんの中心がより低く外周に向かうにしたがってすそが広がるとされているが,今回得られた接触率の変化はこれと定性的に一致することがわかった.また,粗い面のヘルツ接触実験を行なった後の接触部をSPMの8つの測定モード(AFM,DFM,Phase,FFM,LM-FFM,PFM,VE-AFM,VE-DFM)で測定し,接触部の現出性について検討した結果は次のとおりである.(4)接触部が平面である場合は,8つの各測定モードとも現出可能であることがわかった.(5)現時点で,各測定モードの中で現出性が高いのは,AFM,DFM,LM-FFMである.接触部の現出性について検討した結果は,(6)接触部が平面である場合は,どの測定モードとも現出可能であることがわかった.(7)現時点で,各測定モードの中で現出性が高いのは,AFM,DFM,LM-FFMである.このことより,薄膜の高さの変化だけではなく,試料と薄膜材の物性の違いからも接触部を測定できることが確かめられた.これによって,本手法が横方向で数10nmの精度で接触部を検出できる可能性を確認できた. 今後は,接触させる環境,接触させる試料の材質等を変化させて種々実験を繰返して,本測定方法の有効性について検討する予定である.
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