研究概要 |
本研究は高温・高圧乱流燃焼の現象解明を目的とし,高圧容器内に安定化された,予熱混合気に対する乱流予混合火炎を研究対象とした。乱流火炎構造の詳細な観測,乱流燃焼速度の測定,Darrieus-Landau不安定性による火炎面の凹凸スケール等の計測を行い,混合気温度および圧力との関係を詳細に調べ,高温・高圧下の乱流燃焼モデル構築を図った. ロッドヒーターおよび銅ブロックから成る空気加熱装置を製作し,高圧容器に内蔵して実験に供した.パッキン類の耐熱性等による制限から最終的に最高圧1.0MPa,最高加熱空気温度573Kに対して実験を行った.燃料にメタン,酸化剤に空気を用い,高温・高圧乱流予混合火炎のOH-PLIF計測を行い,その画像に対してフラクタル解析を実施して火炎の最小凹凸スケールを求めた.混合気が573Kまで予熱された場合においても,最小凹凸スケールはDarrieus-Landau不安定性の特性スケールと強い相関があることがわかった.熱線風速計を用いた高温・高圧乱流に対する詳細な計測を行い,乱流エネルギースペクトルにKolmogorovの相似則が成立することを確認するとともに,高温・高圧乱流においても,Kolmogorovスケールの約10倍の直径の渦管に相当するスケールがDarrieus-Landau不安定性の特性スケールより小さくなると,乱流火炎の凹凸スケールが一定となることを明らかにした.さらに,高温・高圧乱流予混合燃焼において基礎となる層流燃焼速度を実験的に求めるため,PIVとOH-PLIF撮影を同時に行う手法を開発し,実際の計測に適用した.はじめに水素/空気火炎に対する実験を行い,続いて乱流燃焼実験に供したと同様のメタン/空気火炎に実験を拡張した.詳細反応を考慮した数値解析結果と比較し反応速度パラメータを修正し,乱流燃焼実験データの解析に供した. 最後に,高温・高圧下の乱流燃焼速度の測定を画像解析によって行い,層流燃焼速度で規格化された乱流燃焼速度を圧力および乱流レイノルズ数で表すモデル式を導出した.
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