配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2002年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2001年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2000年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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研究概要 |
本研究では眼底を多方向から撮影した複数の眼底画像を元に,眼底パターンを3次元復元・表示する.眼底とは眼球の内面のことである.眼底は人体において血管を直視できる唯一の場所のため,様々な診断をする上で非常に役立つ部位である.眼底の観察は眼のレンズを通して行なわれるため,位置表示や面積や容積などの測定が容易ではない.このため今現在,診断は見る人の主観に頼って行われている.これまでには,カメラキャリブレーションを行なった後,1組のステレオ画像から眼底を3次元表示する方法が提案されていた.しかし,1枚の眼底画像には限られた狭い範囲しか撮影できないので,この手法では3次元復元も狭い領域に限られていた.本研究では,互いに重なり合ったより多くの眼底画像から,広い範囲の3次元復元を行なう手法を提案し,実験結果を示した. 眼底画像は,カメラのレンズや患者の眼の光学系により歪んでいる.このレンズ系の特性には個人差があり校正できない.ところで眼の光学系を単レンズでモデル化し,眼底の形状がほぼ球面であることを用いると,眼底の実像は2次曲面となる.眼底画像の歪み方は,この実像に対するカメラの位置・姿勢を反映している.それぞれ歪み方の異なる眼底画像が同一の実像を撮影したものであることに基づき,各カメラの位置・姿勢および2次曲面の形状を推定し,眼底の形状を復元する.結果を3次元表示することにより,広い範囲の疾患を一度に表示できるようになり,また眼底形状の疾患の部位の特定などが容易になった. 本研究の成果が実用化されるには,まだ,医師の協力による臨床的な検証を経なければならないが,ここでの成果はコンピュータビジョン応用における新しい手法の開発とともに,新しい領域の開拓をももたらしたものである.
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