配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2002年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2001年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2000年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
本研究の目標は,本来は心理学の概念であったカクテルパーティー効果を,工学の分野にもちこみ,生体の機能に近いセンシングシステムを実現することである.この目標をめざして,本課題では,リアルタイム動作可能な実験システムを実際に試作しながら研究を進めた.3年間の研究の結果として,以下の成果を得た. 第一は,ハードウエアの完成である.まず,156チャネルのマイクロホンアレイを完成させた.また,視聴覚融合を併用して音の抽出を行うために用いるビデオカメラのアレイ,音信号や画像をリアルタイムで処理するための並列演算用DSPモジュール,DSP間通信を効率良く行うための専用の通信モジュール,等を設計し製作した. 第二は,DSP間通信モジュールでの通信プロトコルの研究である.大規模アレイの情報処理にあたって,最も問題となるのはDSP間通信をどう行うかである.映像や音声を効率よく通信し,DSP間通信のオーバーヘッドを最小限におさえ,かつソフトウエア開発も容易に行えるようなDSPボード間の通信方式を決定し,その方式にあった専用FPGAを設計した. 以上,完成させたソフトウエア,ハードウエアでシステムを組み,大規模アレイによる信号分離を行ない有効であることを示した.また,それと平行して,数値シミュレーションを用いてさらに高度な信号分離アルゴリズムを開発し,センサ数を大規模化することの意味も示した.これは既存の独立成分分析の理論を大規模アレイにも使えるように拡張したものである. これら結果によって,センサアレイの大規模化の有効性の度合いが示され,また,大規模化したセンサを用いたシステムのアーキテクチャ設計やソフトウエア環境に対する指針を示すことができた.これらが本研究の成果である.
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