配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2000年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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研究概要 |
モデル集合同定と学習型制御の統合化設計について研究を進め以下の成果を得た. まず,モデル集合同定に関しては,観測雑音と入力信号との相関などの統計的性質を考慮し,かつロバスト制御との整合性をとることが困難であった.これに対処できる方法を提案し,現実の柔軟構造物を対象とした実験を含め,その有効性を検証した. つぎに,機械システムと電気システムの融合系を含む広い対象を記述できるハミルトン系と呼ばれる非線形システムのクラスに着目し、学習制御の基礎となりうる受動性を保存した形式の安定化や,共役システムの性質について明確にした. 学習型制御に関しては,従来型の反復制御方式の欠点として,観測データの微分信号が必要,あるいはシステムの定量的な詳細情報が必要という問題点に着目した.これを解決する一つの手法として,入力空間の有限次元化を提案し,線形系および非線形メカニカル系に対して,その有効性を実験を含めて検証している.この手法の大きな特徴の一つは,信号の積分値を用いて学習則を構成している点であり,観測雑音に対してロバストな手法となっている.また,ハミルトン系の共役システムの性質を利用して,詳細なモデル情報も信号の微分も不要な新たな手法を開発した.この手法は勾配法に基づく学習制御であるため,追従誤差が学習回数に対して単調に減少するという特徴を有する.さらに,入出力データから直接補償器のパラメータを更新し,フィードバック特性を改善する反復補償器調整法について,外乱に対してロバストな一つの手法を与えた. 両者の統合化に関しては,モデルの定性的な性質を利用するにとどまり,より有効な統合化手法は今後の課題としてのこされた.
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