配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
2002年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2001年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2000年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,サンプル値制御理論を用いてアナログ特性を最適化する新しい信号処理の理論と手法を開発することである.この目的を達成するためには,サンプル点間の振る舞いを厳密に取り扱うことのできるサンプル値制御理論の導入が欠かせない.我々の理論は,信号処理の分野でよく知られたShannonのサンプリング定理とは対照的である.サンプリング定理では,もとのアナログ信号は完全に帯域制限されているという仮定が強いられるが,この仮定は人工的であり現実の信号には決してあてはまらない.さらに,サンプリング定理にもとづいて設計された信号処理系の応答は,多くの場合,望ましくないオーバーシュートを示す.これにたいして本研究では,アナログ特性を最適化するフィルタを得ることに成功し,音声処理において従来法よりも優れた結果が得られることがわかった.このことは,DSPボードおよびPCに我々に最適フィルタを実装し音声処理実験を行うことによっても確かめられた.このDSP回路を用いて構成されたDA変換器は,現在市販されている高級CDプレーヤのものに比べても優れた性能を発揮している. さらに我々は,サンプルレート変換器およびディジタル通信システムにおけるディジタルフィルタの新しい最適設計手法を開発した.これらの設計問題は高次元の問題になる傾向があるため,新しい数値最適化手法の研究をおこない,このような高次の問題に対しては凸最適化手法,いわゆる切除平面法が効果的であることを示した. さらに以上の結果に加えて画像処理への応用についても一定の見通しを得ており,今後の研究テーマとしたい.
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