研究概要 |
1)地震荷重を受けた場合のパイルド・ラフト基礎および群杭の変形,破壊メカニズムを詳細に検討し,荷重伝達機構を明らかにする,2)パイルド・ラフト基礎の変形解析手法を開発する,ことを3年の研究期間の主な研究目的として研究を実施した。 1)に関しては,乾燥砂地盤における模型パイルド・ラフトの鉛直および水平方向の1g場での静的載荷実験を行った。さらに,50gの遠心場で,単杭,ラフトのみ,パイルド・ラフトの静的鉛直・水平載荷実験,および振動実験を行った。遠心実験では,杭頭とラフトの結合条件を完全固定(剛)とヒンジ条件の2種類に設定した。これらの実験から得られた重要な点は,以下のとおりである。1.パイルド・ラフトの鉛直および水平抵抗は,ラフトと(群)杭の抵抗力を単に足し合わせたものよりも,大きくなる。2.バイルド・ラフトの水平抵抗は,杭数を多くすれば単に増加するものではなく,ラフトと杭の鉛直荷重分担に大きく左右される。3.ラフトから地盤に伝達される応力増加のため杭周囲の地盤の剛性,強度が増加することによって,杭の鉛直および水平抵抗力が増加する。4.杭頭条件が剛でヒンジであっても,鉛直荷重のみを受ける場合のパイルド・ラフトの挙動には,大きな差は生じない。5.水平載荷を受ける場合,杭頭ヒンジでは,水平変位が大きくなるが,杭に発止する曲げモーメント,せん断力,ラフトの傾きは,杭頭剛に比べて小さくなる。6.実設計において重要となる使用性限外荷重内では,杭頭剛および杭頭ヒンジであっても,水平外力の大部分をラフト底面の摩擦力で受け持っており,ラフト底面の滑動が生じるまでは,ラフトに水平変位抑制効果が大きく期待できる。7.振動実験(地震実験)における上部構造物の質量と加速度の積を水平外力として評価すれば,地震時のパイルド・ラフトの水平荷重〜水平変位関係は,静的水平載荷試験結果とほぼ対応する。2)に関しては,ラフトを薄板要素,杭を梁要素,地盤をラフトおよび杭の節点に連結したばねで表現する三次元簡易解析プログラムPRABを開発した。PRABは,有限深さ地盤,多層地盤における水平,鉛直,モーメント荷重を受けるパイルド・ラフトおよび群杭基礎の変形,荷重分担,部材力の計算を高精度かつ短時間で計算できる。
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