研究分担者 |
中辻 啓二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10029324)
宮本 仁志 神戸大学, 工学部, 助手 (50283867)
道奥 康治 神戸大学, 工学部, 教授 (40127303)
辻本 剛三 神戸市立工業高等専門学校, 教授 (10155377)
西田 修三 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40172663)
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研究概要 |
神田・東野は,底泥と直上水との間での溶質移動が河川,湖沼,貯水池等の水域水質に及ぼす影響を把握することを目的として,水理学的滑面,桟粗面,開水路凹部など様々な底面形状を対象に,水・底泥境界面での溶質移動フラックス推定のためのモデルを構築した. 神田・宮本は,上記の底面形状のなかで開水路凹部を対象にして,流れの乱流構造が溶出現象に及ぼす影響を調べるために,凹部流れのPIVによる画像計測を行い,ウェーブレット解析,主成分分析を用いて流れの時空間構造を詳細に検討した.主流-凹部境界における組織渦の挙動,レイノルズ数の変化に伴う凹部内循環流の空間スケール特性など流況特性が明らかになった. 道奥は,底泥からの塩分溶出により発進する傾斜密度流を実験的・理論的に検討した.流速の画像計測と温度計測を行い,境界層理論に基づき物質輸送量を推定した結果,実験値との良好な一致を得た.これより,塩分溶出により発生する熱演密度流の水質輸送量を推定することが可能となった. 中辻・西田は,河口域における流入汚濁負荷の沈降堆積現象の実態を把握するために,武庫川と大和川で現地観測を実施した.武庫川では上流より供給される全リンおよび全窒素の約20%が河道部感潮域で沈降堆積していた.大和川河口域では,河口部から沖合約10kmの領域で陸域起源の有機物のほとんどが沈降堆積していた.底泥表層の脱窒速度の解析から,脱窒作用により流入負荷量の約50%が除去されることがわかり,脱窒作用が河口沿岸域の窒素循環において大きな役割を果たしていることが明らかとなった. 辻本は,舞子海岸における潮流観測結果を用いて周辺の潮流特性を解析し,漂砂の移動形態や卓越した流れの発生要因を明らかにした.また,流れにより波が遡上する機構を再現する計算手法を提案し,その妥当性を確認した.さらに,閉鎖性の強い水域の流動機構をPIVによる画像計測により調べた.
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