研究概要 |
研究代表者らはこれまで,石炭灰を外割調合でコンクリートに大量使用する方法を提案し,その効果および調合方法について明らかにしてきた。本研究では,このようなコンクリートのフレッシュ性状や強度,耐久性といった性能に対して,研究代表者が従来より示してきた性能発現メカニズムに関して実証を行ったものである。本研究により下記について確認することができた。 ・石炭灰を外割使用したコンクリートが同じ水セメント比のセメント単味コンクリートよりも若材齢から高い強度を発現する理由は,材齢28日以降に活発となるポゾラン反応では説明できない。 ・単位石炭灰量の増大とともに,空隙の総体積は変わらないものの,径の小さい空隙が多くなり,硬化体組織が緻密化する。水銀圧入式ポロシメータで測定される径50nm以上の空隙量と圧縮強度は相関を示し,50nm以上の空隙量が少なくなるほど強度は高くなる。 ・上記傾向は,走査型電子顕微鏡(SEM)によっても確認される。 ・したがって石炭灰を外割で混合すると空隙構造が緻密化され,一定サイズ以上の径の空隙体積が減少するため,材齢初期から高い強度を発現する。 ・よって上記コンクリートの強度発現は,活性度指数の大きく異なる石炭灰の種類が変わっても大差なく,また1,000ブレーン程度の粗粉を使用した場合でも影響が見られない。さらに砕石粉のような非反応性粉体でも同様の結果が期待できる。 ・石炭灰を外割使用したコンクリートのフレッシュ性状は,全粉体が形成する空隙の総体積と練混ぜ水体積との関係から説明でき,前者に対して後者が余剰するほど高い流動性が得られる。 ・このことにより,粗粉を単独でコンクリートに用いると流動性が悪いのに,細粉と混合して使用すると細粉単独の場合よりも流動性が向上する現象を定量的に説明できる。
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