研究分担者 |
福本 昌宏 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (80173368)
上野 明 豊田工業大学, 工学部, 助教授 (30160188)
奥宮 正洋 豊田工業大学, 工学部, 助教授 (20177182)
小橋 眞 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (90225483)
村上 健児 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (60112067)
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研究概要 |
熱力学的に不安定な粒子を含む複合(Cermet)溶射材料は,その成膜過程で分解することが知られている.そこで,インプロセス反応を伴う反応性溶射を行い,窒化物や炭化物を含む生成複合皮膜の形成が注目され始めた.本反応性溶射研究で得られた主な成果は以下の2項目に分類される: (1)Al合金の表面被覆としてプラズマ溶射鋳鉄皮膜に注目し,(i)基材予熱温度のスプラット形態に及ぼす影響,(ii)反応層と気孔の生成,(iii)スプラットのミクロ組織を基礎的に検討した.その結果,基材温度の上昇は,スプラット形態をスプラッシュ状からディスク(星型を含む)状に変化させる.基材の加熱により,スプラットの端には基材表面の変形と溶融が関与して盛上り(ridge)ができる.このリッジ形成のため,ディスクスプラットの偏平率は基材温度の上昇とともに小さくなる.また,基材温度が高くなると,スプラット界面にはFeAl_2O_4層を生じ,リッジの形成や界面気孔の減少とともに,スプラットの密着性を増加させる.基材予熱温度の上昇とともに,凝固速度が遅くなるためスプラットには黒鉛が生じ易くなる. (2)高フレーム速度と低溶滴温度を特徴とするHVOF溶射は,反応性溶射には不適とされていた.そのHVOFフレーム中でインプロセス反応を生じさせるため,発熱反応を伴うSiO_2/Al-Mg合金系の造粒粉末の使用を世界に先駆けて検討した.この系では,生成する安定酸化物としてはMgAl_2O_4が予想される.しかし,実際には,高速反応するMg_2Siを生じる.また,溶射距離とともにMgAl_2O_4の生成量が減少することから,期待した反応は飛行中ではなく,基材上で進行する.しかし,Ni粉末を添加し,発熱反応をより加速すると,飛行中でもMgAl_2O_4生成反応が進行するようになる.
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