配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
2002年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2001年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2000年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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研究概要 |
エポキシ樹脂の主剤および硬化剤の種類を変えて,樹脂硬化物の硝酸水溶液に対する分解性を調べ,樹脂主剤および硬化剤の化学構造と分解生成物との関連性について明らかにした.樹脂のケミカルリサイクルを目的とした場合,メンタンジアミン(MDA)を硬化剤として用いたビスフェノールF型エポキシ樹脂が最適であった.このエポキシ樹脂を4mol/lの硝酸水溶液(80℃)で約150時間分解し,酢酸エチルで抽出した分解生成物を未使用エポキシ樹脂に対して25wt%添加して無水フタル酸で硬化させたところ,抽出物の添加によって曲げ強度が約1.5倍,引張強度が約4倍に向上した.また,示差走査熱量分析(DSC)により,抽出物を添加した場合にも化学構造の均一性が得られていることが示され,さらに,とガラス転移温度が約18℃増加して耐熱性が向上していることが明らかになった.分析の結果,抽出物中に含まれるアミンによって硬化反応が促進され,架橋密度が高くなっている可能性が示唆された. マトリックスにテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)硬化ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いたガラス繊維強化プラスチックについて,前述と同様の方法で分解を行ったところ,樹脂単体が分解する場合とほぼ同じ時間でマトリックス樹脂が分解し,ガラス繊維のみを分離・回収することに成功した.また,FRPを分解して得られた抽出物を用いて,前述の方法と同様に未使用樹脂に添加して無水フタル酸で硬化させたところ,抽出物の含有率が15wt%の範囲では良好なリサイクル品が得られ,曲げ強度も向上した.さらに,3種類のガラス繊維を硝酸水溶液に浸せきしたところ,汎用のE-ガラス繊維は顕著な溶解や強度低下が起こったのに対し,化学用のC-ガラスおよび機械用のT-ガラスについては劣化の程度が小さく,繊維を回収して再利用できる可能性が高いことが明らかになった.
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