配分額 *注記 |
10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2000年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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研究概要 |
シリカガラスの破壊誘起構造変化とその熱処理による回復を,フッ酸への溶解熱,シェリュプスキー光散乱,電子スピン共鳴により調べた。平均粒径31μmの破砕直後のシリカガラスの溶解熱は破砕後に973Kでアニールした試料よりも大きかった。これは,破砕がシリカガラスを高エネルギー構造にすることを示している。シェリュプスキー光散乱も同様の傾向を示した。つまり,破砕直後のシリカガラスからの散乱は非常に大きく,これは屈折率の不均一性が大きいことを意味しているが,それも973Kでのアニールにより小さくなった。973Kでのアニールによる緩和は約10時間で完了するが,この緩和は完全ではなく,1173Kでアニールするとさらに緩和が生じる。電子スピン共鳴研究は,シリカガラスは破砕によりE'欠陥を生じることを示した。E'欠陥は破砕したカラスを水中に短時間侵漬するだけで消滅し,これはE'欠陥がガラス表面近傍に存在することを示している。 破砕により歪みは15Na_2O-10CaO-75SiO_2ガラスと10K_2O-38PbO-52SiO_2ガラスについても,内部エネルギーの観点から研究された。破砕直後のフッ酸への溶解熱とアニール後のフッ酸への溶解熱の差は,破壊による内部エネルギー変化と見なせる。この内部エネルギー変化はシリカガラスでは約10kJ/mol-SiO_2であるのに対し,ソーダ石灰ガラスでは7kJ/mol-SiO_2,鉛ケイ酸塩ガラスでは2kJ/mol-SiO_2であった。この組成依存性はガラスの自由体積の差によるものと考えられる。つまり,大きな自由体積を有するガラスは大きな破壊誘起構造変化を示すと考えられる。
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