研究概要 |
本研究の目的は,線状加熱時の加熱ガス・鋼板間伝熱の数値解析手法の開発にある. 研究では,まず新しい乱流混合燃焼モデルを開発した.開発モデルの有効性は温度分布計算値と実験値を比較して評価した. 続いて,LIF法によりトーチ直線移動時のトーチ周りガス温度場の過渡変化を計測した.点加熱時および線状加熱時のガス温度分布の時間変化を詳細に調べた. さらに,低レイノルズ数k-ε2方程式乱流モデルを採用した際のガス温度場計算結果への影響を評価した. これらの結果以下の知見を得た. 1)LIF実験の結果,線状加熱時のトーチ周りガス温度分布は点加熱時とほぼ同一であることがわかった.また,ガス温度分布は鋼板温度上昇にほとんど影響されないことがわかった. 2)上の結果から,線状加熱中のトーチ周りガス温度分布は点加熱時分布と同一で時間で不変で不変と近似できるとの仮説を提唱した.そして,点加熱試験結果のみから任意の鋼板形状,トーチ移動履歴の鋼板温度分布を推定できる新しい入熱推定法を提案した. 3)提案した乱流混合燃焼モデルを用いた燃焼流動解析による点加熱時ガス温度分布計算結果は実験結果と良好に一致した.線状加熱時の衝突噴流火炎計算では,提案モデルの採用が望ましい. 4)低レイノルズ数k-ε2方程式乱流モデルを採用した計算では,鋼板表面直近の熱流場が乱流挙動に大きく影響されていることが示された.これは,低レイノルズ数k-ε2方程式乱流モデルを使用すれば乱流境界層内部の温度場・熱伝達量計算精度の向上が期待できることを示唆する.
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