配分額 *注記 |
13,500千円 (直接経費: 13,500千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2000年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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研究概要 |
重質油層およびオイルサンド層からの採油増進による原油生産は,21世紀の石油資源として重要であり,熱回収法であるSAGD法は,重要な新技術と位置付けられている。本研究は,従来のSAGD法の理論を適用した数値解析結果とフィールド試験結果の相違に関して,水蒸気が凝縮するチャンバー界面部分のミクロ的な熱・物質移動現象にその原因があるものと推測し,物理実験モデルと数値解析モデルによって生産流体中に観察されるエマルションの生成メカニズムを解明し,生産特性との関連を明らかにすることを目的としたものである。 光ファイバースコープを用いた油層内の水蒸気チャンバー界面での水蒸気による油の置換とエマルション生成挙動などのミクロ採油挙動の可視化を実施した結果,水蒸気チャンバー界面において水蒸気が直径0.01mm程度の微細な凝縮水滴となって凝縮し,その後に油相中へ取込まれて混合する複雑なエマルション生成現象が観察された。また,水蒸気チャンバーの段階的成長過程において,チャンバー界面においてエマルションが生成されることを,光ファイバースコープ画像と人工的なエマルション生成実験との対応から裏付けた。さらに,生産流体におけるエマルション特性を調べた結果,両坑井間のブレークスルー以後は水/油比がほぼ一定の状態で生産が継続され,水蒸気チャンバー界面におけるエマルション生成がSAGD法の水蒸気チャンバー固有の構造から生ずることを明らかにした。この実験結果に基づいて数値シミュレータSTARS用の数値モデルをintermediate3 stone1の濡れモデルを用いて構築したところ,実験結果と同様の水蒸気チャンバー界面の上方への拡大は抑制され,横方向への拡大は加速されることが確認され,油生産特性を含めた良好な数値予測結果となることがわかった。
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