研究課題/領域番号 |
12460064
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林学
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清和 研二 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40261474)
|
研究分担者 |
小池 孝良 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (10270919)
菊沢 喜八郎 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50271599)
陶山 佳久 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60282315)
柳井 清治 北海道工業大学, 環境デザイン学科, 教授 (20337009)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
|
キーワード | 河畔林 / 撹〓 / 性(雌雄)差 / ヤナギ類 / オニグルミ / 繁殖様式 / 食物連鎖 / 分子マーカー / オノエヤナギ / イヌコリヤナギ / 繁殖構造 / 安定同位体 / AFLP / 性比 / 繁殖投資量 / 資源獲得効率 / 繁殖成功度 / マイクロサテライト / 光合成特性 / デトリタス |
研究概要 |
近年、河畔林は河川改修などによって生物の多様性が急激に減少してきている。河川改修によって生じる立地環境の変化や生育場所の断片化は水辺植物の繁殖成功に影響し、ひいては個体群の遺伝的多様性や種多様性を劇的に減少させている。一方、河畔林の存在は多様な環境保全機能をもつばかりでなく、水生昆虫や魚類のエサとなる落葉や食葉性昆虫を供給し、食物連鎖の中の一次生産者として水生生物の多様性を保証しており、その保全は緊急の課題である。本研究は、河畔林において優占種個体群の繁殖様式・遺伝的多様性ならびに水生生物への食物供給機能を、自然度の高い河畔林で精査することによって、河畔林構成種の生物多様性・遺伝的多様性の維持メカニズムを明らかにした。 特に雌雄異株のヤナギ科樹木においては、性比の変動要因を明らかにする共に、有性繁殖および無性繁殖における繁殖戦略の性差を明らかにすることができた。また河畔生樹木であるオニグルミの開花調査から、オニグルミは雄先熟タイプと雌先熟両タイプの二つの開花タイプが混在するヘテロダイコガミーという種であることを明らかにした。さらに両タイプの繁殖投資量はほぼ等しく、また開花期間も相補的交配を保証していることを明らかにした。さらには両林分とも雄先熟・雌先熟両タイプが相補的に交配を行っていることを分子マーカーを用いて明らかにし、交配可能範囲を示す有効花粉飛散距離を明らかにした。北海道ゴキビル川とその河口域で、山から海への食物連鎖の実態解明を安定同位体を用いて調べたところ、海に流れ込んだ樹木の葉を海のベントスが食べ、さらにそれらを魚類が食べることが実証された。しかし、餌植物や捕食者の組成さらには食物網自体にも大きな季節変動があることが示唆された。 本研究の知見は、人為的な河川改変が河畔林群集の生物種の多様性、個体群の遺伝的多様性の保全のための基礎的知見を提供しうるものと考えられる。
|