研究分担者 |
寺岡 行雄 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (40264105)
岡野 哲郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00194374)
吉田 茂二郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (80128462)
國崎 貴嗣 岩手大学, 農学部, 講師 (00292178)
溝上 展也 宮崎大学, 農学部, 講師 (00274522)
INOUE Akio TOTTORI UNIV, AGRIC., ASSISTANT PROFESSOR (80304202)
MURAKAMI Takuhiko KYUSHU UNIV, AGRIC, ASSISTANT PROFESSOR (20332843)
井上 晋 九州大学, 農学研究院, 助教授 (20038342)
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研究概要 |
本研究代表者は、ミズナラ高品質材生産を目標とした育林プロセス(育林方式:皆伐-天然下種方式・伐期齢:150年)を研究開発し、さらにその育林プロセスに応じた森林経営システムとしての細胞式舌状皆伐システムを設計した。その育林プロセスと森林経営システムの実用化試験が九州大学北海道演習林内の約200haのミズナラ天然生林において、1972(昭和47)年度から開始され、2001(平成13)年度末をもって30年が経過する。本研究の目的は、前述のミズナラ高品質材生産林分育林プロセスと細胞式舌状皆伐システムの当初30年間にわたる実用化試験結果を調査検討して、両者の実用化に関する知見を得ようとするところにある。その結果は,以下の通りである。 1)29年間の天然更新と植栽によって得られた1年目のhaあたり本数は,5,000本〜133,000本で大きく変動し,その平均は55,000本であった。2)更新プロセスによって成林した約15年生の林分では,樹冠内に天然生林分でも見られる垂直構造が認められた。3)15〜22年生の林分ではミズナラの上層木平均樹高は,大きな変動があるが全上層木平均樹高よりも幾分低い傾向にあった。4)15〜29年生林分の上層木平均直径は,15〜21年生では変動しているが,21〜29年生まではほぼ成長が一定(毎年約5mm)であった。5)35〜57年生では上層木蓄積は変動が大きいが増加しているように見える。一方,61年生以上では,林分蓄積は74から271m^3/haと変動していた。6)30年間の純収入の年平均は335,000円であり,これは年平均の収入(892,000円)から年平均の支出(557,000円)の差である。 以上から、1972年の施業以来,最初の30年間における本試験林の経営は一定の条件付でペイする結果となった。この経営システムの有益性の評価とその欠点の改善には,今後もさらにこの研究を継続していくことが必要である。
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