研究課題/領域番号 |
12460078
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒田 宏之 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (00115841)
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研究分担者 |
黒田 慶子 森林総合研究所, 関西支所, グループ長 (20353675)
原 正和 静岡大学, 農学部, 助手 (10293614)
久保井 徹 静岡大学, 農学部, 教授 (20132847)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
2002年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2000年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | 二次代謝産物 / スチルベノイド生合成 / 低温ストレス / デハイドリン / カテキン / Mnストレス / 通導阻害 / 集団枯損 / 抗菌性二次代謝産物 / スチルベン合成酵素 / 低温耐性 / 形質転換植物 / エピカテキン / 気象害 / ピノシルビン合成酵素遺伝子 / アカマツ / 水ストレス / 低温誘導 / ウンシュウミカン |
研究概要 |
樹木の生理状態が、健全な状態から"ずれる"と材質劣化の引き金となる。材質の「健全な」形成には、多様な遺伝因子が関与する。材質指標としての遺伝因子を考えるうえで、本研究で用いた方法論は網羅的な遺伝子解析とは対局をなすものであった。すなわち、標的遺伝因子を定め、これを単離することからはじめて、最終的に、その機能の解明をめざした。材質の健全性因子のなかで、比較的少数を研究対象とせざるを得ないもどかしさを感じながら、二次代謝関連遺伝因子(1章)と耐寒性遺伝因子(3章)の研究をスタートさせた。前者は、耐腐朽性や耐病性を通じて材質の健全性に関与する。後者は、温帯から亜寒帯の樹木が越冬して、健全に肥大成長を続けるために必須の因子である。最終的に、このような遺伝因子を単離したうえで、その機能を分子レベルや形質転換植物を用いて解明できた。対象とした遺伝因子の数こそ少ないが、材質の健全性指標として、これらの遺伝因子の応用に、充分信頼のおける科学的基盤・根拠が提示できた。 培養系を用いた研究では、主として環境ストレスとして、温度と重金属を扱った。環境ストレスを培養系に与えた結果は、細胞の生理状態が健全な状態から"ずれて"、二次代謝産物を産生するのではなかった。細胞は、できるだけ健全な状態からの"ずれ"を少なくするために、二次代謝産物を産生していることが明確に示された(2章)。さらに、二次代謝産物生成の生理的な意味が、耐病性などだけでなく、活性酸素の消去や重金属不活性化にも重要な役割を果たしていることが推定された。 亜寒帯から温帯まで、幅広く林地の現地調査をこなし、その原因を、現場での現象論にとどめないで、組織観察と物理的手段(アコースティックエミッション)を駆使して解析した結果、二次木部の水分通導が正常に機能していることが、材質の健全性を維持するために、非常に重要であることが明らかにされた(4章)。この研究は、ともすると要素還元的に陥りがちな研究の流れを、現実の「材質の健全性」に引き戻す牽引役をはたしてくれた。
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