研究課題/領域番号 |
12470016
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬場 明道 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (70107100)
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研究分担者 |
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (30240849)
松田 敏夫 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00107103)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2000年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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キーワード | PACAP / 遺伝子ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / 精神行動 / 痛覚 / 日内リズム / 糖尿病 / β細胞新生 / 遺伝子改変マウス / 精神疾患モデル動物 / 海馬機能 / 神経因性・炎症性疼痛 / 好奇心 / 不安 / 神経細胞保護 / グルタミン酸 |
研究概要 |
本研究は、我々が作製したPACAP欠損(KO)マウスを含め3種類の遺伝子改変マウスを用いて、PACAPによる中枢・末梢神経機能調節等の発現機構、その生理・病態的意義を解明することを目的として実施し、以下の成果を得た。 1.精神行動機能調節 (1)PACAP-KOは、新規環境下の自発行動量の増加、異常ジャンプ行動、好奇心増大(または不安減少)を呈した。これらの精神行動異常は、抗精神病薬あるいはSSRIにより改善された。 (2)PACAP-KOに音刺激驚愕反応prepulse inhibitionの低下(障害)が認められた。 以上の結果は、PACAPが精神行動の調節に関与すること、本マウスの表現型が統合失調症あるいはADHDの病態と一部類似性があることを初めて示すものである。 2.海馬機能 PACAP-KOとPACAP1型受容体欠損マウスの海馬シナプス伝達長期増強(LTP)の障害、行動薬理試験におけるPACAP-KOの海馬依存性記憶・学習障害を見い出し、これら高次脳機能におけるPACAPリガンド-受容体シグナルの寄与を明らかとした。 3.神経因性・炎症性疼痛 神経因性・炎症性疼痛の発現がPACAP-KOでは消失していた。PACAPが痛覚過敏およびアロディニア(異疼痛)の発現制御に必須な役割を果たすことが示された。 4.日内リズム PACAP-KOにおいて、光照射による日内行動リズムの位相変化および視交叉上核のc-fos誘導が減弱していた。光同調機構の維持にPACAPが重要な役割を果たすことがin vivoで示された。 5.糖尿病態モデル (1)ストレプトゾトシン投与時の膵臓特異的PACAPトランスジェニック(Tg)マウスの膵臓では、β細胞新生が促進することが見い出された。 (2)遺伝性肥満・糖尿病KKAyマウスとTgマウスとの交配による病態モデルにより、PACAPによる膵臓ラ氏島過形成の調節作用が見い出された。 膵臓のβ細胞新生およびラ氏島形成をPACAPが調節することを示す本成績は、GLP-1属であるPACAPの臨床応用の可能性を支持する重要な知見として位置付けられる。
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